Brisagram! 海辺の草こよみ vol.15

鳥たちへ

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

トンビ

このところの春風にトンビたちがうれしそうに空を舞っています。
見ていると、ほんとうに風に乗るのを愉しんでるのがわかるのです。
トンビは風のサーファー
他の鳥たちとは、まったく違う飛び方、
ゆうゆうと風をとらえて、ダイナミックに飛び交います。
生まれ変わったら、このあたりのトンビになりたい、ときどき思うほどです。

家の中に居る時にも、一瞬トンビの影が部屋を横切ることがあります。
みなさんも経験あるのではないでしょうか。
初めてそれを体験したときには、言いようのない感動をおぼえたものです。
一羽の鳥が太陽の光を遮る瞬間を味わう、
ほんの一瞬ですが、何か、ハッとするサインなのです。

トンビ大
トンビサーファー

次々と入れ替わり、遊びながら飛ぶ、そのスピードはほんとうに速くて、
なかなかカメラではとらえるのがむずかしく、いい映像がありません。
また、家の上に来るのはたいてい夕方、日が沈むころなので、鮮明な写真がとれずにいます。

鳥は朝早くと、日の入りのころ、庭にやってきます。

この前の夕暮れ時、ふと窓の外を見ると、
とてもたくさんの、あまり見かけない鳥が庭木に止まっていました。
ざっと数えて60羽ほども。
みな一斉に海からの強風に顔をむけ、鳴きもせず、じっとしています。
しばらくたたずんでいた後、誰からともなく、一羽、二羽、とまた枝を離れていきました。
その時間は私もその鳥たちの一員になったように、じっと一緒に時間を過ごしました。
何を告げに来てくれたのかしら。

鳥庭
庭に来たたくさんの鳥たち

カモメもいます。
その羽模様はとても美しい。
一羽ごとに違うようです。
飛び方もトンビとはまた全然違います。

夏に時折、沖まで泳いでいってプカプカしていると、
気がつくと、隣でカモメも波に浮かんで一緒にプカプカ。。
その時が、また至福のときです。

カモメ
美しいカモメの羽模様

数日前、三浦沖でタンカー事故があったようで、葉山界隈には重油が流れ着いています。
これから旬のヒジキや、天草、どうなるのでしょう。
海草も気になりますが、海の鳥たち、亀たち、生き物のことがほんとうに気掛かりです。
今日の逗子海岸にも、たくさんの重油の固まりが漂着し、
重油まみれの海鳥の羽も流れ着いていました。
こうした事故はまれですが、日々日常、たくさんのビニールやプラスティック製品のゴミで
海の生き物は傷つき、命を落としています。

石油に頼った今の暮らしを本気でシフトチェンジする時期がいよいよ来ている、
あらためてそう思う、身近な痛ましい出来事でした。

重油羽
重油まみれの鳥の羽

鳥の絵
こどもの絵@逗子の浜

身の周りに居てくれるさまざまな生き物、鳥たち、
わたしたちの暮らしをほんとうに心豊かにしてくれる、かけがえのない仲間たち。
今の世界を一緒に生きていることに、日々幸せをもらっています。
彼らと共に生きていける世界をイメージしながら、何が出来るだろう、と考え考え、、
できることから地道に動いていきましょうかね。

ツバメもやってきましたね。

写真・文 矢谷左知子

葉山芸術祭2014 草講座ワークショップ

草糸3種

ことしも始まります。
葉山芸術祭。
今回も去年のように、連続草講座を開催します。
ご興味のある方は、この機会にどうぞ参加してみてください。
くわしいお知らせはまたアップさせていただきますが、
芸術祭WEBサイトも更新していきますので、チェックしてみてくださいね。
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」でワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。

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