Brisagram! 海辺の草こよみ vol.21

マルベリー(桑の実)の季節

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

マルベリー

このところは毎朝起きると、まず庭に出て、
そこにセットした無粋な巨大ハシゴをよじ登り・・
目指すは深紫に熟れたマルベリー、
桑の実です。

少しずつ熟れていくので、なかなか採りためてジャムなどにできず、
毎日、おさるのように、ちょいちょい、と
木の間で、からだを伸したり、曲げたりしながら
枝先の黒くなったマルベリーをいただいて、
ハシゴの上で辺りを見渡して。
わーい、なんて楽しいんだろう、
と、ワクワクしながらまたハシゴを下りてきます。
いい年して・・

ハシゴ
枝

しあわせって、もうこういうことだけで、充分。
朝起きて、庭に出て、ほんの少し、季節の恵みを分けてもらって、
ポイポイとそれを頬張る。

お金にはほとほとご縁がないけれど、
まわりの自然から与えられる幸せは、無尽蔵にいただいています。
それを全身で受け止め、季節ごとに存分に味わう、
それができれば、もうそれだけで、充たされる、

人が作り出したお金のなかで生きるのではなく、
自然界の一員として、周囲の動植物の声に耳を傾けて
調和しながら暮らしていく。
そんな日々さえ送れたら、私はしあわせです。

でもその自然が、世界中で危機を迎えています。
この周辺も開発のスピードはすごく、
緑はあっという間にコンクリートに変わっていきます。
追われる絶滅危惧の生き物たちのような気分に、
私自身感じることが増えてきました。
彼らは知らない間にひっそりとこの世界から姿を消して行っています。

今あるここの自然を愛おしみ、大切に交感しながら、
今この瞬間に消えていく、世界中のものたちに思いを馳せています。
うちの猫をかわいがって撫でる時は、
世界でつらい目にあっている生き物たちへ、同時に気持を送っています。
そんなことしか今はできないけど、
すべては繋がっているような気がするのです。

庭みおろし

それにしても、ハシゴに登るたのしさよ、
普段見れない庭の景色にしばし見とれます。
今日は予想より早く雨があがって、サーファーも出てきました。

さあ、今日もステキな一日をお過ごしくださいね。

蜘蛛の子たちも、わんさか散り始めました!

クモの子


写真・文 矢谷左知子

最終(採集)草講座のお知らせ 5/29

「草文明のはじまりのおはなし」

葉山芸術祭での一連の草講座の仕上げに、
5/29、最後の草講座をすることになりました。
これはワークショップではなく、トーク+シェアの日。
今回掲げた私の造語「草文明」とはなんのことなのか、
連続の草講座からなにが見えてきたのか、
木々や草々からのメッセージを交えて話を進めていければと思っています。
どうなりますことやら。
ご興味のある方はこちらをご覧下さい。
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」でワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。

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