Brisagram! 海辺の草こよみ vol.38

すぐそばの生きものたち

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

露大
葉っぱの朝露が魔法の石のようでした

いのち
わたしたちの周りは命で満ちています。
動きまわる虫や動物、
いつもそこにいる植物、
たくさんの命が周りに居てくれて、
そのなかでみんながなにかの役にたちながら生きている、
はずなのですが、人という動物の一人勝ちのなかで、
多くの生きものたちは存在の危機にたたされ、
いつのまにか姿を消していきます。

私の家は山のなかにあるため、
庭にはいつもリス、
数多くの野鳥、
ときどきコジュケイ、キジも庭に迷い込んできます。
一度はイタチと鉢合わせしたこともあります。

そんななか、この冬中、気になっていたのが
お山のタヌキたち。
みなさんのそばにも居るのではないでしょうか。
全身毛の抜けた、はげはげのタヌキ。。

タヌキ1タヌキ2

その皮膚は疥癬のために赤剥けとなり、
またゾウの皮のようにごわごわとなっています。
冬の寒い風の日や凍るような雨の夜には、一本の毛もない、かれらのことを思わずにはいられません。
犬の病気がうつったとも、人間の残飯のせいだとも言われています。
どちらにしてもタヌキたちが健全に生を全うする自然環境が残っていないのですね。

この冬、うちの庭には毎日のように群れで出没していました。
イヌ科のタヌキは、毛がないと、いったいなに??
初めて見たときにはわかりません。
新種の動物のようなのです。

このところ見かけないのが気掛かりです。
寒い冬を乗りきれたでしょうか。
春はもうそこ。
もうすこしがんばって。

きのうは、赤ちゃんヤモリを発見。
3センチほどの小さな身体、
まだまだ寒い日々のなか、たったひとりで生きているのですね。

ヤモリ

いのちたちは、ただ、迴る地球の営みのなかにいます。

人類と、その他の生きものとの共存、
ずっと考え続けているテーマです。

答えが出るものでもないでしょうが、
いつも気持をむけています。

今年は春の花が早いです。
いつもは5月ごろに咲く花たちがもう咲き始めている。
人の目には早いと思うのですが、
植物たちは、ただ、そのめぐりを周りに合わせて最適な時季に花開くだけですね。

私もまた庭のいのちたちに支えられ、おしえられながら
終る冬を惜しみ
春の日差しを愉しむ、日々是好日哉。。
でも
哀れタヌキさんが気になるこのごろです。

シャガつるにちにち

矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」で草のワークショップ
*ただいま「草講座」実施中
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。
次回は3月14日にランチを担当します。

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