Brisagram! 海辺の草こよみ vol.48

もうひとつのリビング

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

外大

やさしく染み入る季節となりましたね。

空気も光もやわらかく、ひとつひとつが、しずかに着地するような、
なにか降りていくような、そんな気がして、
ほっとひと心地着く日々を味わいます。

このところ、10月も後半にはいってから、庭に一羽のウグイスが毎朝やってきます。
遠慮がちに、つっかえつっかえ、ホー、ホケキョ!
え、なに、いまの!
と最初耳を疑いましたが、くる日もくる日もウグイスは朝、庭に来て、
2週間もたったこの頃は、相変わらず遠慮がちではありますが、すっかり上手に鳴けるようになりました。
これから寒くなるときに、どうしたのでしょう。

思わぬうれしいギフトを届けてくれた、小さなウグイス。
小さな声で一人で鳴いて。
明日も来てくれるでしょうか。

家にいるのも好きですが、外が大好きです。

光のうつくしい時は、家から徒歩1分の、ちょっと見晴らしの良いとっておきの場所に出かけます。
時には仕事のものを持って、時には本を抱えて、お茶のコップも持って、
まるで家の中で部屋を移動するように、そこへ行くのです。

足をぶらぶらさせながら、海を見て、
結局は仕事もせず、本など読まず、
ぼーっとしあわせに過ごすだけですが、
なにをするでもなくても、外でそんなことをしているだけで、
なんだかとても幸せになるのです。

庭

庭ももうひとつのリビングです。
さきほどのウグイスの声を聞きながら、お天気の日は、朝食やお茶を庭でとっています。

草ぼうぼうのワイルドな庭で、
毎朝、庭じゅうの植物たちに挨拶し、
みんなと交感しながら、植物たちの中で、もぐもぐパクパク。。
これもそれだけで、もう充分に楽しい。

やっと、すこしは蚊が少なくなり、そういうことができる季節になりました。

家の中は快適ですが、
外と遮断された空間にずっといると、やっぱり息が詰まります。

人が創った空間もいいけれど、
人では創ることの出来ない、天井のない外の空間で、
部屋にいるときのように過ごすって、それだけでこんなにうれしいのだから、
自然界からは、ほんとうに計り知れない贈り物をもらっているのですね。

この地域に暮らすことは、そんな日を過ごすことの出来る幸せとともにあるのだなあ、と、しみじみしながら
海や山や、庭に来てくれる小鳥たちや、自然界の生きものたちと、できるだけ外で、
ボーダーを取り払った時間をたくさん過ごしています。

みなさんもそうでしょうね!

夕焼け

文・写真 矢谷左知子
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」草のワークショップ

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