Brisagram! 海辺の草こよみ vol.51

海へ 素潜りの日々

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。
素潜り大
潜っているのはワタシです・・!元旦@葉山の海で

この地域には、海を愛し、海に親しむ方が多く住んでいらっしゃることでしょう。

かくいう、私も今年の元旦は葉山の海で素潜り、初潜りをしていました。

とはいえ、素潜り、まだほんの初心者です。
去年から友人に習って時々潜るようになりました。
その友人とはフリーダイビング競技の日本代表選手。
小柄な女性ですが、60メートル潜るのです。
すごいなあ。

そんな深さはまったくもって目指していませんが、
長年、シュノーケルをつけて泳いでいても、水面付近でぱしゃぱしゃしているだけで、
いつまでたっても潜れず・・
いつかはその先へと行ってみたい、とずっと思っていたのです。
やっと少しずつ潜れるようになってきました。

今回は初めての冬の海。
でもことしの元旦はほんとうに暖かかったですね。
水温もさほど冷たくないばかりか、上がってからも無風で濡れたままでも寒くない。
そして海のなかの美しさといったら!

冬は一年でもいちばん海の中がきれいな時です。
蒼く澄みきった静謐な世界、多様な魚の群れ、
死滅回遊魚といわれる、南から流れ着いた、きれいな熱帯魚たち、
カジメの林。。

カジメカジメ2

ヘタクソな私が一息で行って帰ってこれる深さは知れていますが、
少しずつ深さを知っています。
海が迎え入れてくれ、待っていてくれます。

なんといっても一息。
一回吸って、吐くまでの間のできごと。
一瞬ですが、その一瞬の海の旅の素晴らしいこと。

それは、頭をまっさかさまにして地球の中心に向かう旅であり、
いつもの重力とは異る世界に浸る旅。。

ぼら

すぐそばの海は実に多様な生きものが生息する別次元。
ふだん見えないところ、人類は住めない場所ですが、
でも確実にこの星の半分以上はこういう世界であって、
地上に居るだけでは計り知れない、深遠な処、

内在する宇宙。

宇宙は地球の外だけではなく、
内部にもあったのだ、と感じます。

身ひとつでそこに触れるスキンダイビング、
大げさではありますが、これからの人類が知っておいていい感覚の一つではないか、と思ったりするのです。

私が仕事にしている草の世界と実はとても近い感覚があり、
このところは草のワークショップの海バージョンとして、素潜り講座も開催しています。

海がおしえてくれること、
これは説明しようにも、しようがありません。
まるで禅の世界のように、それを体験した者だけが認知するものかもしれません。

海辺の皆さま、
今年は海へ、の機会を増やしてみてはいかがでしょう。

世界のもう半分を堪能しましょう。

夕陽

文  矢谷左知子
写真 yuki muto(水中写真)/ 矢谷左知子(夕陽)
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」草のワークショップ

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