Brisagram! 海辺の草こよみ vol.53

摘み草のシーズン

庭

春は一気に運ばれてきましたね。
ほんとうに何かに乗って、いきなりやって来ます。
いったいどこから??という感じです。
穏やかに来てみたり、激しく来てみたり、気まぐれで、ダイナミック、
春は一年でもいちばん激しい季節です。

そして、今まさに、草摘みのベストシーズン、
食べる草、
素材にする草、
毎日、続々と新顔が噴き出すので、てんやわんやになります。

冬のものと早春のものとが入り交じって、
終わるものと、これから始まるもの、この時季はいれかわりの刻(とき)。
まさに今日、春分。
冬と春を分ける刻です。

食べる草は採ってくると、それはもう大忙し。
茹でたり、すりつぶしたり、
ゴリゴリ、スリスリ・・

はこべ
すりこぎ

毎日、いろんな草がいろいろ変身、
草魔女の様相です。

草いろいろ

毎度ながらツクシも、その宇宙的な姿と、コクのある味わいに驚嘆です。
これはほんとに唯一無二の味。
草というよりは、キノコのよう、クサノコ?
野菜食の私には、まるで貝でも食べてるかのような深みが、食事に独特な力を添えてくれる貴重な存在。
それにしても不思議な草です。

ツクシ
佃煮

ヨモギはお饅頭や草パンケーキ、染めやモグサに姿を変え、
ハコベは歯磨き粉やサラダ、
フキノトウはお味噌やペーストに。
これからはノビルやツユクサや、ツワブキ、
まだまだ出てきてくれます。

つぎつぎと、次の形に姿を変えていく草たち、この時季だけの天の恵みは、今まさに旬、
土のなかには、これから飛び出そうとしている元気な命たちが準備中。
山道をあるいていても、足の下がむずむずするようです。

今月はそんな摘み草と料理の会も開催します。

一年でたったひと月あまり、今しかない、摘み草の時季。
存分に浸ってみてはいかがですか。
草たちに触れるだけでも、指先から確実に春の気配が入ってきますよ。
草たちからの限りない、いのちの贈り物です。

写真・文 矢谷左知子


矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」で草のワークショップ

ブログ
草舟 on Earth
草虫こよみ
Follow me!