鎌倉くらすらいふ第36回 井上米輝子さんのClass Life な暮らし(1/2)

長い歴史の中の、今。
旬に恵まれた古寺を預かって

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由緒正しい禅宗の古寺に嫁ぎ、そこで茶事と料理を極めていった前住職夫人の井上米輝子さん。茶の心を貫き、分かち合い、足るを知る。湘南の暮らしの基本がここにあります。

花の寺、東慶寺

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現代は「花の寺」として知られ、江戸時代は「駆込み寺」として多くの女性たちの拠り所となった東慶寺。
前住職夫人である井上米輝子さんは、700年以上の歴史をもつこの寺に、香川県から嫁いできました。

「明治までは尼寺として続いてきましたから、住職が妻帯したのは義父が初めてだったようです。だからこの寺に女性が入ったのは義母が初めてだったんですね。その前は男所帯の時代もお手伝いのおばさんたちは居て、梅の世話をしたりしていたようです」。

長い歴史の中のワンポイント

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寺の境内をぐるりと一周すると、たくさんの梅の木、竹林、そして畑と、食材の宝庫でもあることに気づきます。

「禅宗は自給自足が原則ですから。梅は何百キロと実が取れます。ずっと自分たちでもいでいましたが、最近は植木屋さんに剪定していただくついでにもいでもらっています。一番人気があるのは、完熟した豊後梅で作るジャムですね」。

宝物館の裏の竹林には、春は筍が。
「筍の硬いところは細く切って煮て冷凍しておきます。何かと必要に迫られてアイデアが出てくるんですよ」。

つくしは薄味に煮たり、酢の物にしたり。かき揚げにしてみたり。米輝子さんの料理は評判を呼び、石原慎太郎さんの強い勧めで、一冊の本『東慶寺・季の味』(世界文化社刊)にもなりました。
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境内の庫裏と呼ばれる場所が住居で、ここに台所や客間があります。

「実はこのお寺は関東大震災で全壊したんです。震災後の居間庫裏は昭和48年(私が嫁いで来る前)に改築したようです」。

まさに夫婦で寺を守るのにふさわしいお嫁さんが迎え入れられたのです。寺を引き継ぐことにさぞかしプレッシャーがあったのではと想像しますが、米輝子さんはにっこりこう言います。

「長い歴史の中で、ワンポイントで私たちが預からせてもらっている、という感じなんです。どんなに時代や人が変わっても、続いていくところですから」。

Life Style

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