いつでもどこでも。長く使い続けられる『seto』のバッグたち

コップやかばんも“いきもの”になる

seto_main.jpg
本覚寺のほど近く、山形蕎麦の店『ふくや』の脇にある看板が目印だ。階段を登って行くと、小さなスペースにところ狭しと並べられたカラフルなバッグや雑貨が迎えてくれる。


「持ち歩けるアートを、と思ってできたのがこのEaterシリーズです。いきものから学んだことをデフォルメしてプロダクトやグラフィックに落としこむことをテーマに活動していますが、このバッグも、寄り添うように体にフィットしたり、エサを食べるように荷物や小物を収納できたり。使っていくうちに、自然やいきものを身近に感じてもらえたら、という想いを込めてつくりました」。そう話してくれたのは瀬戸けいたさん。奥様のなおよさんと一緒に1999年からデザインレーベルを立ち上げ、活動している。
seto1.jpeg
「ばくばくばく」と食べている音が聞こえてきそうなEaterシリーズから『Kodomo-sagari』。手の先がフックになっているので単独で使うのはもちろん、手持ちのバッグやベビーカーにぶらさげることもできる。中綿入りなのでクッション性も◎。携帯やサングラス、ティッシュなどおでかけの必需品がおさまるサイズ。コインケースに最適なものからA4サイズのファイルがギリギリ入るものまでさまざまなサイズが揃う。「サガリ」という名は、妖怪の名前から
「自然を身近に感じることって、実際に自然の中に身を置いてみるだけじゃないと思うんです。コップやかばんでも、ちょっとした要素を加えるといきものになる。自然の一部になるんです。生活といきものがリンクすると楽しみがうまれるなって思います。このバッグは見た目がカエルに似ているので、カエルバッグと呼ぶお客様もいらっしゃいますよ。日本の妖怪のように、人によって何に見えてもいいんです」(けいたさん)。
確かに。壁にかけられたカラフルなバッグたちはなんだか楽し気。見ていると今にも動き出しそうだ。

「いきものってかわいいだけじゃない。怖いときもあるし、死ぬこともある。人間がいきものの生態を壊しているという側面もある。プロダクトを通して普段は忘れてしまいがちな、そういったことにも目が向いて、考えるきっかけになってもらえたらと思いますね」(けいたさん)

seto2.jpeg
seto3.jpeg
店内にはバッグのほかにも雑貨や、お2人のお眼鏡にかなった郷土玩具が並ぶ。「郷土玩具から発想することは多いですね。無機質なものでも「蛇の目」などのポイントをつけることでいきいきとしたいきもの、自然のものに見えますよね」(けいたさん)

定番だからこそ、長く使えて愛着もひとしお

 お2人のものづくりの原点にはいきもののほかに、自分たちの手で考えてつくって、直接お客様に届けたいという想いがある。大量に作って大量に売る、新商品を出し続けるというのではなく、まずはアイデアを出し合って試作をつくり、自分たちで使ってよかったものを商品化する。そして、使い続けながら改良を加えていくことを大事にしている。奇抜さや派手さはないかもしれないが、流行に左右されない定番には、一度使ったら手放せない使い勝手の良さがある。

「今日はお母さん、明日は子供、と家族で共有することもできるし、性別も問いません。リュックやトートバッグ、スーツケースと一緒にサブバッグとして持ったり、親子でワンポイント、お揃いのコーディネートを楽しんだりすることもできます。このバッグを買うことを“飼う”とおっしゃってくださるお客様がいるんですよ。愛着がわいて、一緒に生活するように大事に使ってくださっているみたいです。そんな風に使っていただけたら嬉しいですよね」(なおよさん)

その使い勝手の良さと見た目のかわいさから、街中を散策するときにはもちろん、トレッキングや磯遊び、お山歩(さんぽ)にも連れて行きたくなる『seto』のバッグたち。たくさんの思い出を一緒につくることができる相棒を探しにお店を訪ねてみてはどうだろう。

seto4.jpeg
自由学園生活工芸研究所とコラボレーションしたプラネテバージョン。80年にわたり、丁寧に生産しているオリジナルのテキスタイル。布の使い方によって異なる表情が楽しめるのが魅力
seto5.jpeg
このBlack&Whiteシリーズは、水性マーカーでぬり足すことで、オリジナルのテキスタイルのバッグを完成させることもできる。ワークショップで使うことも多いそう。自分だけのオリジナルバッグなら、さらに愛着がわきそうだ
『seto』鎌倉アトリエショップ
住所:鎌倉市大町1-6-23 2F
電話:080-3724-0909
営業時間:水〜土 11:00〜16:00
定休日:日〜火 ※ほか不定休あり。その場合はHPで告知。
seto
(取材・文 森國美代)

Fashion&Beauty

ひと夏だけではもったいない!?長く付き合えるビーチ小物82
Follow me!