美しいハーブティーをさらりと飲んで 身体の中から美しく。（2/2）

　明るく陽射しが入る店内でほかにも目につくのが、カラフルなメキシコの雑貨たち。色とりどりのかごはひとつひとつ職人の手で丁寧に編まれたフェアトレード製品だそう。水野さんのおすすめは、メキシコのチョコラテ。古代は薬として使われていたカカオは滋養強壮、疲労回復はもちろん、薬草と合わせて調合されていたそう。こちらはオアハカに住むハシータおばちゃんの配合によるもので、一口いただくとしっかりとした苦味とほのかな甘み、飲みすすめるうちになんだか視界がひろがったような気分になってくる。ハシータおばちゃんの家に代々伝わるレシピをぜひ試していただきたい。

　店内中央に置かれた大きなテーブルの上には、フレッシュなハーブや野の花、お菓子やフルーツなどが置いてある。ふとショップカードを見ると、「Bring your own Cup, Bread & some Flowers!」の文字が。そう、この店ではハーブティーとケーキは注文できるが、それ以外のものを食べたい人は、ご近所のパン屋さんで買ってきたり、自分で焼いたスイーツを持ってきて店内で自由に食べることができるという。その際はドリンクのワンオーダーをお忘れなく！それでけではなく、マイカップを持ってきた人はドリンク５０円引き、お花を持っていった場合は雑貨が５％offになるそう！

　なるほど、店内はお花屋さんと間違って入ってくる人がいるほどそこかしこに花が活けてある。このちょっと変わったアイディアについて水野さんに聞くと、「私も七里ケ浜に住んでいますが、このあたりには気軽なカフェがなくて。」鎌倉・江の電ブームで人気のカフェはあるけども、地元の人がこどもの幼稚園の送り迎えに、毎日の散歩のついでに、ふらりと立ち寄れる場所があったらいいな、と思ったそう。自身も一歳半になる子を持つ親として、カフェだとこどもが食べられるものは少なかったり、持ち込みもちょっとはばかられるのに不自由を感じてこのスタイルに決めたという。

　最近は出産を控えたお友達に、とマタニティブレンドを求める人も多いそう。大切な人のことを思って、あれこれ相談しながら丁寧にブレンドされたハーブティーは、きっとお茶の効能以上の働きをしてくれるだろう。
　訪れた人にとって、心地の良いように使っていただけたら良いんです。と、微笑みながら話す水野さんに、窓の外から小さなこどもの手をひいた母親が会釈する。こどもは勝手知ったる我が家のようにドアを開け、絵本を取り出しテーブルに座った。あたりまえのようにフレッシュミントを浮かべたお水を出すやりとりを見ていると、かつてどこの町にもあった商店のような風景を思い出す。
　キラキラと光る海を見おろす丘の上に、時代やスタイルが変わっても人々が集う場所がある。そんな優しさに満ちたお店をぜひ訪れてみてほしい。

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七里ケ浜のおすすめベーカリー
◇kondo一軒家風の素朴でかわいいパン屋さん。
◇リュミエール・ドゥ・ベー無添加・自家培養天延酵母のパン屋さん。
◇鎌倉フランス食堂 スリジェフランス人が日々食べているものを提供する食堂。

文・写真　小池えり子