城ヶ島、三崎の住人達とシネマ・キャラバンによる映画祭今年も開催!

昨年、三浦半島の最南端である城ヶ島で第1回目となる「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」が開催された様子を鮮明に記憶している方も少なくないと思います。

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毎年GWに逗子の海辺を鮮やかに飾る風物詩となっている「逗子海岸映画祭」をプロデュースする「シネマ・キャラバン」。スペイン・バスク地方、オランダ・アーネム、、インドネシア・ジョグジャカルタなど世界各地、国内は東京都天王洲、東京国際映画祭、岐阜県白川郷、新潟県佐渡島などでコンセプチュアルな野外映画館を創作し、市民交流や地域活性プロジェクトを続けている彼らが手がける新しい映画祭ということで話題を呼びました。

2回目となる今年は、開催期間を2日間に延ばし、手付かずの自然が残る城ヶ島を五感で楽しんでもらおうと、様々なコンテンツを用意し更なるパワーアップを図っていました。その噂を聞きつけて、地元の人々はもちろんのこと、逗子や湘南エリアの住人たちをはじめ東京や都内近郊から足を運ぶ人たちまで開催を心待ちにしていたイベントです。

自然の中で五感を解放するイベント

三浦半島の先端に位置する城ヶ島は、三崎から橋を渡って辿りつく小さな島。太平洋を一望できる城ヶ島公園からは、房総半島はもちろん、伊豆大島や富士山までの景色をパノラマで楽しむことができる最高のロケーションと、豊かな生命を育む海に囲まれた自然のエネルギーにあふれる場所。東京からわずか1時間ちょっとでこんなダイナミックな自然が楽しめることに、初めて訪れる人はみな驚きます。

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そんな城ヶ島公園を舞台に繰り広げられる「星降る町の映画祭」は、大空の下、自然の中で五感を解放しながら、思い思い休日の時間を楽しんでもらおうという入場無料のイベントです。今年のコンセプトは「強い想いは、どとく。つながる」。メインとなる映画上演はもちろん、昨年も大好評だった様々なワークショップや出店ブースがさらにバージョンアップ、地産の新鮮な食材を使った美味しいフードやドリンクも一層の充実をもって、訪れたお客さんたちに楽しんでもらう予定だったのですが、その週末は巨大な台風24号が日本列島を横断。「星降る町の映画祭」も当初2日間に渡って開催される予定を急遽1日に縮小し、場所を城ヶ島公園から三崎漁港にある「うらり」に移しての開催となりました。

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三崎の町に出現した、一夜限りの映画館

あいにくのお天気で来場を諦めた人も多いと思いますが、映画祭は地元の人をはじめ楽しみにしていたお客さんが大勢集まり、終始実に和やかなムードで行われました。当初2日間の予定だったものを1日にまとめているので、参加できなくなった出店者やキャンセルになったワークショップも多くありましたが、限られた空間のなかにも“シネマ・キャラバンの映画祭”らしさがふんわり漂い、また屋内という囲まれた空間にあると、この映画祭がどれだけ地元の方々と密着して作りあげてきたものなのかが、逆にしっかりと輪郭を持って浮きぼりにされた印象。

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ワークショップは、ビクセンの望遠鏡キットを使用しての「手作りオリジナル望遠鏡ワークショップ」が開催されました。アーティストの田中健太郎氏のリードで、子供達は夢中になって羽根が生えた望遠鏡などオリジナリティ溢れる作品の制作していました。

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じっくりと映画に向き合う時間

この日上映されたのは、井出内創・内山 拓也監督の共同作品「青い、森」と全編を三浦市でロケーションしたという神徳幸治監督の「さかな」、そしてシネマ・キャラバン率いる志津野雷監督作品「Play with the Earth」。

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「Play with the Earth」はPlay with the Earth Orchestraによる生演奏と映像のコラボレーション作品で、会館の屋根を飛び超えて観客を城ヶ島の星空の下へ45分間のリトルトリップへ誘いました。

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抗うことのできない自然現象の中の決断

シネマ・キャラバンスタッフの話によると、一週間前から準備していた会場設営のほぼ8割ができあがったところで、映画祭前日の朝9時に話し合い城ヶ島での開催を断念。あと一歩で完成というところで解体するのは苦渋の決断でしたが、どのくらいの被害をもたらすのか分からない台風に備えての判断であったことは誰の目にも明らかでした。そこからは会場を三崎うらりに移しての開催に向けて急ピッチでの撤収&設営作業だったとのこと。

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当日うらりには、城ヶ島で使われるはずだったブースの一部が組まれ、普段は味気ない市場上の会館の風景が、数時間だけ遊び心溢れる映画館へと変身。その様子にはきっと地元の人々が一番驚いたのではないでしょうか。

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「1年かけて準備してきたイベントなので、城ヶ島公園で上映したい、という思い入れは正直あって中止するかはかなり悩みました。けれど、一番大切なのは、来てくれるお客さんたちや撤収の際の安全性。そこを最優先に考えました。前日に急遽会場をうらりに変更して、結果的に足を運んでいただいたお客さんや関係者の帰りの足にも影響がでることなく終えることができよかったと思います。たった半日で映画館につくりあげるなんていうのも、自分たちにとっては新たな体験。結果としては、お客さんだけでなく、自分たちもいつもと違う環境で映画をじっくり楽しむことができたと思います」(シネマ・キャラバンスタッフ談)

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地元の人々と少しずつ心を通い合わせて作りあげていく「星降る町の映画祭」。もしかしたら、今回の台風による会場変更はこれから先へと続いていくこの映画祭の大きな、そして確実に力となる新しい一歩だったのかもしれません。来年は文字どおり星空の下での開催となることを祈りつつ、みんなで1年後を楽しみに待ちたいですね。

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城ヶ島はこれから散策にとても気持ちのいい季節なので、ぜひ週末に足をのばしてみて。海と絶景の自然散策を楽しんだあとは、三崎でマグロに舌鼓み。映画のなかに登場した何気ない日常の風景を探しに出かけてみるのも、アフター映画祭、もしくはビフォー映画祭の楽しみ方といえるのではないでしょうか。

text : mayu kobayashi
photo : yumi saito / tatsuya sano

12月末までの期間限定公開!

上映作品『さかな』『青い、森』が公式サイトにて閲覧可能です。
さかな
ロケ地マップ
映画を観た後にはぜひ三浦散策を!
青い、森
また、Play with the Earthは予告編とともに、ライブアーティストの情報がご覧いただけます。
Play with the Earth
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