葉山の森を守る木造伝統建築文化を担う若手大工

outside.jpg

葉山町の上山口を拠点とする日本の木造伝統建築文化を担う若手大工集団藤本工務店は、自然の素材にこだわった家づくりをしています。藤本さんが手掛けた住宅は、室内に一歩足を踏み入れると豊かな木の香りが漂い、ほんのりとした優しい暖かさに包まれます。空気が澄んでいて、まるで森林の中にいるような気分になる空間です。

inside.jpg

代表の藤本嶺さんは31歳という若さ。横浜にある伝統建築の工務店で大工として修行をし、約6年前に幼馴染と共に独立しました。国産の木材を使用し、土、竹、紙、石、漆喰などの自然素材で創る人にも地球にも優しい住宅を手掛けています。藤本さんの家づくりに対する考えや技術をinstagramやyoutubeを使って発信し始めると、全国から藤本さんの元で学びたいとinstagramのダイレクトメッセージから問い合わせがくるようになり、現在は13人の若手の大工が所属しています。

hozen.jpg

国産木材を使用した無垢材の住宅はコストが高くなってしまうのがネックです。そこで藤本さんは、丸太をそのまま買取り、自社製材し施工まで手掛けるワンストップの方式で、国産の木の家に住みたいというお客様に向け、できるだけコストを抑える住宅づくりを目指ざしています。また、釘や金具を使わない伝統技術を習得するのには長い年月がかかりますが、藤本さんは若い大工たちが復習しすいよう、親方大工たちの手元をスマホでビデオ撮影することを許可したりと工夫を凝らしています。

製材.jpg

模型.jpg


トラックの荷台に載せて運べる木材のモバイルハウス

moile_02.jpg

moile.jpg

住宅造りをベースにしつつ、遊び心も満載なプロジェクトにも挑戦しています。DUCUMENTという全国をオリジナルキャンピングカーで巡りながら映像を撮っているチームからの依頼でハイエースの中に設置するベットキットを制作。その後その技術を更新して、2トントラックの荷台に載せて運べる木材のモバイルハウスを制作しました。

国産杉を贅沢に使った五感で味わうサウナ、sauna metsä

sauna.jpg

他にもユニークな施工事例として、サウナ付きの別荘建築を依頼されたことをきっかけに、sauna +wellnessを提案するサウナのスペシャリストであるAVANTOとの出会いから誕生したサウナルーム”sauna metsä(サウナ メッツァ)”をご紹介します。

国産杉無垢を贅沢に用いたこのサウナは、バスルームでもリビングでも、どこへ置いてもスタイルのある家具のようなサウナに仕上がっています。森林浴効果をもたらすフィトンチッドという香りは、製品になっても効果が持続すると言われています。特に杉は心を和ませ、気持ちを落ち着かせる鎮静効果が絶大だそう。サウナ+森林浴で深いリラクゼーションを得ることができるという優れたアイテムです。
instagram@tylohelo_avanto


葉山の森を再生させるため

森.jpg

もう一つの藤本さんの活動は葉山町の森林の保全です。葉山町はその名の通り山が豊かな地域。実際、森林が町の面積の半分以上を占めています。本来ならば地域には森林組合が存在し森を整備をするのですが、2008年に組合は解散されそれ以降は放置されたままになっていました。現在は、倒木などにより暗い森になり災害の原因にもなりかねない状態に。藤本さんは今年5月に仲間とともに一般社団法人葉山の森保全センター(HFC)を立ち上げ、定期的に森に入り整備をしつつ、森林資源の活用法を模索しています。森から採取した木々や葉っぱなどを用いてクリスマスの時期はリーシュ作りのワークショップを開催したり、竹林から竹墨を作ったり。いずれはこの森の中にモバイルハウスを設置し災害時の避難場所にするという展望も。今年始まったばかりのこの活動は、現在支援する会員や寄付を集っています。

保全.jpg

湘南で暮らす人々にとって共存すべきお隣さんのような存在の森。その森を健康な状態に保つことが災害を防ぐためにもとても重要だということを、私たち一人一人が認識しなくてはいけません。

SNSを活用し、森林保全や木造伝統建築文化について伝えている藤本さんの活動に今後も目が離せません。

IMG_5472.JPG<左>一般社団法人 葉山の森保全センター代表理事/藤本工務店代表 藤本嶺さん
Follow me!