鎌倉の山を走る魅力 - 鎌倉アルプス・トレイルラン大会レポート

鎌倉アルプストレイルコース
trailrun_01.jpgトレイルランニング、トレランという言葉を聞いたことがありますか?トレランは登山やハイキングのように山を走って楽しむ新しいスポーツです。湘南と言えばサーフィンやヨット、海水浴と海のイメージですが、実は鎌倉の山はトレランコースとして人気です。平地を走るだけでもつらいのに山を走るなんて!と思いますよね?でも、トレランはつらいどころか楽しいと聞きます。それってホントなの?鎌倉アルプス・トレイルラン大会に出場したばかりの女性二人に鎌倉の山を走る魅力についてうかがいました。

山を駆け巡るトレイルランニング

最近のジョギングブームはみなさんもよく知るところでしょうが、山を駆け巡るトレイルランニングを楽しむ人もここ数年でぐっと増えました。スポーツ用品店にはトレランコーナーがあるほどです。登山やハイキングで山を歩いている人は、小さなザックを背負って駆け抜けていくランナーに出会ったことがあるかもしれません。「あの人どっから走って来たの?」と驚かせているのがトレイルランニングです。

鎌倉アルプス・トレイルラン大会

先日(2010年11月27日)に「第7回鎌倉アルプス・トレイルラン大会」が開催されました。出場者数309名(男子244名、女子65名)、最大標高差は約156m、距離約24kmとトレランの初心者でも比較的参加しやすい人気の大会です。

START:港南台→市民の森(ビートルズトレイル)→大平山→
朝8時半、横浜市港南台駅近くの空き地をスタートして市民の森に入り、ビートルズトレイルと呼ばれているハイキングコースを抜けて鎌倉の山に入ります。ここまでの区間はアップダウンしながら軽快に走れるトレイルが続きますが、ステージが鎌倉に移ると道は徐々に険しくなってきます。

天園峠→建長寺→六国見山→北鎌倉駅→
茶屋がある天園(てんえん)峠を越え、建長寺、明月院の裏山へ回り込み、鎌倉の街まで降ります。そこから急坂の六国見山(ろっこくけんざん)を一気に登って山越えし、住宅地をターンして北鎌倉駅に到着です。ここまでが前半約15kmです。

trailrun_r1.jpgtrailrun_r2.jpgtrailrun_r3.jpg

円覚寺→浄智寺→源氏山公園→極楽寺→稲村ヶ崎→
後半のステージは、観光客で賑わう円覚寺の前を過ぎ、浄智寺の横から源氏山公園を結ぶテクニカルなハイキングコースを進みます。目指すは極楽寺の先、山を抜けて海が見えるとそこは稲村ヶ崎の半島です。

七里ヶ浜→腰越→江ノ島大橋→GOAL:腰越小学校
そして最後に車が多い国道を避けて、ここからなんと江ノ島大橋までの約4kmの砂浜を走るビーチランが待っています。山あり谷あり、そして海ありの約24kmのコースです。

ではさっそく、この楽しそうな大会(笑)を終えたばかりの酒井ムツ美さんと浜崎望さんにレースの感想を聞いてみましょう。
trailrun_04.jpgtrailrun_05.jpgtrailrun_goal.jpg

鎌倉の山は女性1人でも安心して走れる大好きなコース!

ー 酒井さんは4回目の鎌倉アルプス出場ということですが、今回はいかがでしたか?

酒井「これまでは稲村ヶ崎がゴールだったんですが、今回延長された最後のビーチランはきつかったですね。途中、腰まで海に浸かるところがあったり。でも、レース後に振り返るとあそこが一番楽しかったですね。ほかの出場選手の感想をブログで読んだんですが、やっぱり同じように楽しめたようです」

浜崎「試走した人の情報で水に浸かることは知ってましたが、事前に知らなかった人は驚いてましたね。トレランで海に入ることはまずないですから。砂浜はきつかったですが、天気が良くて海がキラキラ光っていて気持ちよかったですよ」

trailrun_non4.jpgtrailrun_ non3.jpg


ー 鎌倉から江ノ島へと山から海まで贅沢なルートですね。

酒井「鎌倉アルプスはとても好きなコースなんです。夏に何度も走りました」

浜崎「わたしは今年の7月に茅ヶ崎に越してきたんですが、その前の千葉に住んでいた頃から鎌倉にはよく走りに来てました。お寺巡りをしながら走ったり、途中で美味しい物食べたり。楽しみながらのランができますね。六国見山からは海や富士山も見えます。今は紅葉がきれいで、走っていて本当に楽しくなるコースです」

酒井「鎌倉の山は怖くないんですよ。女性1人でも安心して走れるんです」

trailrun_kobitoku4.jpg

ー 女性でも安心とはどういったところですか?

酒井「今年ハセツネという山岳レースに出たんですが、えっ!ここ走るの?落ちない?という怖さが自分にはありました。鎌倉にはそういった危険な箇所がありません。それから鎌倉のコースは山を走っているかと思ったら、ぽこっと住宅地に出るんですね。その横の道を入るとまたフッと山の中に居るんです。山奥に深く入り込んでしまうことがなく、いつでも戻ってこれるという安心感があります」

トレランは山を楽しむ新しいスタイル。楽しくて叫びながら走ってます!

ー よく聞かれると思いますが、山を走るのってきつくないですか?どの選手もニコニコ楽しそうに走ってましたけど。

trailrun_kobitoku3.jpg浜崎「最初わたしも山を走る大会があるよと聞いてびっくりしたんですが、登りは歩いてもいいし、景色がいいところでは休んで写真を撮ったりと楽しいんです。一般のロードのマラソン大会では歩いたら負けみたいな感じになっちゃいますよね」

酒井「森の中を走ると景色が飛ぶように流れて、ちょっとした下りなどではすごく速く走っている感覚になるんですよ。そういうとこでは楽しくてワァーッて叫びながら走ってます(笑)」

浜崎「わたしも叫んでます!野生に返った感じ(笑)」


trailrun_kouyou.jpgー トレランは山を楽しむ新しいスタイルと言えそうですね。

浜崎「鎌倉のトレランコースはハイキングコースとしても人気で、大会の日も紅葉を楽しむハイカーがたくさんいました。大会はスピードを競う場に違いありませんが、山を走ることを楽しむ大会だと思うんです。ハイカーの人たちが歩いていたら無理に追い越さない。すれ違うときには挨拶をするといったことが大切ですね」

酒井「特に鎌倉アルプスはみんなが大事にしているコースだと思います。ハイカーにとっては紛らわしいコース矢印は使わず、ハイカーや観光客が多い場所では走ることが禁止でした。ボランティアのガイドランナーがたくさん出て道案内や安全確保をやってたのが印象的です」



ー それでは最後に日頃よく走るコースや好きなコースを紹介してください。

酒井「好きなコースはもちろん鎌倉アルプスです(笑)。江ノ島を回るコース、近所の新林公園、海沿いのサイクリングロードもよく走ります。鳥や植物を見るのも好きなので、季節ごとに楽しめます」

浜崎「わたしも茅ヶ崎から江ノ島までの海沿いのサイクリングロードが好きですね。行きは江ノ島に向かって走り、帰りは富士山に向かって走ります。海をみながらのジョグは最高です!」

trailrun_beachrun.jpg
お二人に今後のレース予定を確認したところ、酒井さんは1月に伊東オレンジマラソン(10km)、2月は江ノ島スタート・ゴールの藤沢市民マラソン(10マイル)、4月に日本山岳耐久レース・ハセツネ30K(32km)。浜崎さんは1月に湘南国際マラソン(フル)、2月は三浦半島縦走トレイル(フル)、3月は大山登山マラソン(9.1km)、4月は青梅高水山トレイルラン(30km)、5月は山口100萩往還マラニック(140km)にエントリーしているそうです。これを聞いただけでも、二人とも走るのがどれだけ好きかよくわかりますね。湘南のフィールドを自由に駆け抜ける姿が羨ましく、そして眩しいです。

trailrun_kobitoku1c.jpg酒井ムツ美さん
注文靴工房こびとのくつやの靴デザイナー&職人さん。旦那さんも一緒にレースに出ています。「走る人は脚や靴に意識が高いですね」(藤沢市在住)
trailrun_non2c.jpg浜崎望さん
都内の会員制スパに勤めるエステシャン。筋肉を触るとどんなスポーツをしているかわかるそうです。「走ると太りにくい体になり、美容にも精神的にもいいですよ」(茅ヶ崎市在住)
trailrun_02.jpg trailrun_yururito3.jpgtrailrun_yururito1.jpg

鎌倉アルプス・トレイルラン大会:NPO野外活動推進事業団
インタビュー場所:カフェゆるりと 江ノ電・湘南海岸公園駅そば(藤沢市片瀬4-10-20)
撮影/インタビュー:大重美幸
Follow me!