ソーヤー海くんアーバン・パーマカルチャーWS @鎌倉
2014.03.01
共生革命家・ソーヤー海くんのアーバン・パーマカルチャーWS@鎌倉
わあ、なんだか楽しそう〜!、、お知らせをいただいた時に、これは行ってみよう、と申し込んだ、
ソーヤー海くん・アーバン・パーマカルチャー入門WS@ソンベ・カフェ(鎌倉)
トランジション鎌倉のメンバーが主催のレクチャー&アクション+シェアリングの一日です。
パーマ・カルチャーって?
BRISAの読者なら、知っているという方のほうが多いのではないでしょうか。
詳しくは後述するとして、たぶんキーワードは’楽しむ’、ということです。
最初に楽しそう、と思ったのも、アフロ頭でオレンジの縞々のガウンを着ている彼の写真を見たから!
ソーヤー海くん(親しみをこめて、くん、と呼ばせていただきます)は共生革命家。
Tokyo Urban Permacultureの創作者。
革命家というと、キューバのチェゲバラを思い浮かべますが、海くんも同じように人を惹きつけてしまう、
そんな楽しさを体現している若きチャーミングな革命家です。
この日は朝から夜までのみっちりスケジュール。
朝は最初にパーマカルチャーのレクチャーを受けたあと、外に出てゲリラ種まき
午後は持ち寄りご飯会のあと、パーマカルチャーミニ講座とみんなでデザインワーク
夜は世界のアーバンパーマカルチャーを巡る旅スライド講座
さあ、一日濃い内容のWSのはじまりです。
● 踊ることから始まるWS
海くんが最初にやることがあります。
まず、シマシマのガウンを着ること。これは彼のユニフォーム。実はめちゃめちゃアガリ性なんだよね、
と。先生、とてもそう見えませんよ、、! このガウンで士気を上げる意味もあるようです。
さっそうと羽織り、、にはならず、子供がセーターを着る時のように、時にあれ〜?と言いながら被り、
なかなか出てこない首をやっとだすところから始まります。そこからしてもう参加者はなんだかワクワク。
さていったん会場のイスをちょっと片づけて、、全員立ち上がって、後ろに移動、
ガウンを着た海くんがそのなかに混ざり、はい、手を揚げて人さし指を立てて〜、と、
突然、「ミンゴミンゴミンゴ〜」と言いながら指を上げ下げしながら踊り始めました。
えーなにこれ、たのしい、ノリのよさでは引けを取らない鎌倉界隈ピープル。
ワケがわからなくてもとりあえず踊ってしまいます。
ミンゴミンゴ言いつつ踊りながら、まずは二人ペアになります。そこでまずお題。今日の気分は?
また踊りながら移動、今度は3人になって、次のお題。
そんな身体をつかったコミュニケーションをイントロに、からだもほぐれ、心もほぐれたところで、
レクチャーがはじまるのです。みんな笑顔で着席、素敵な幕開けです。
(ミンゴというのはmingle,混ざり合うの意)
● アーバンパーマカルチャー
パーマカルチャーはパーマネント(永久の)とアグリカルチャー(農業)と
農業を土台にしたカルチャー(文化)を合わせた造語。
持続可能な文化、環境、生活のシステムをデザインし、共生社会を実現していくためのエコロジカルな作法、
いまの経済優先で環境にダメージを与え、搾取し続けていく消費型の社会を、循環型でもっと楽しいものに、
人だけでなく、生き物たちのこともちゃんと考えて、クリエイティブであたらしい文化をデザインしていこうよ!
というカルチャームーブメントです。
そのなかにはセルフビルドの建築デザインや、公共デザイン、人とのコミュニケーションデザインなど
暮らしの基本に加え、人権問題や構造的抑圧などへの取り組みも含まれます。
そしてそれらは、とても楽しくて素敵なアイデアに満ち、その創造的解決法にもワクワクさせられるのです。
そう、そのワクワクがとても大事、人は楽しいことには動きます。
そして、そのように動いていくことで、偏った今の世界のバランスをただしていき、サスティナブルでフェアな
社会を目指すという、これは海くんの言うところの革命なのです。
海くんはいわば、その伝道師、
見かけからしてワクワクさせてしまう革命家。
彼はワシントン州のブロックス・パーマカルチャー・ホームステッドという素晴らしい農園で住み込みながら、
研修生をしていました。住み込みといっても宿舎は野外のテント生活。完全に自然のなかの暮らし。
世界中から志のある人が集まり生活を共にしながら、学び、実践する実験的な場です。
魅力的な人びと、おいしいオーガニックの食事、楽しさと創造性に満ちている理想的な日々、、
でもそこはある意味すでに完成された、余裕のある人の理想郷、
研修期間の間に来ていた東京で3.11の福島の原発事故に遭遇した海くんは、その理想郷の外の現実、
対極の苦しい日々に直面している被災地を思い、自分にできることを模索するなかで
都会や困難な環境のなかでも実践でき、次の世界をつくっていく力となるWSを開催、
ほんとうの共生社会をクリエイトするべく行動を開始していきます。
都市(アーバン)でもできるパーマカルチャーの実践。
「共生革命家」の誕生です。
● 実践! まずはゲリラ種蒔き
さて、身体ほぐしとレクチャーのあとは実際に街に出て実践。「ゲリラ種蒔き」です。
これはコンクリートに覆われた都会の、殺風景な街角に、突然の花を咲かせてしまおう、という、
ちょっとしたイタズラです。荒れた場所でも、そこに一輪の花が咲いているだけで、人の心は和みます。
ちょこっとした、まさに希望の種が人の心を癒すかもしれません。
被災地ならなおさらでしょう。
それを発端に、よい循環が起こっていくきっかけにもなったりします。
ちょっとしたいたずらで自分のまわりの世界を少し変えてみる。これも小さな革命です。
皆が余った種を持ち寄って、鎌倉の町を移動しながら、こっそり種を蒔いていきます。
線路際のようなグレーゾーンは、ベストな場所です。
植物の生態系に関して敏感な私などは最初、適さない場所や季節に蒔かれて、
発芽しなかったらかわいそうではないか、とか、
外来の種を突然蒔いては生態系を壊すのでは、と少し抵抗がありましたが、
自然はそんなにヤワではなく、ましてやその時にすこし蒔いたくらいでは
影響を考えることはない、それよりも、こうした行為を通じて、
人が種を蒔くということ自体についての気づきをたくさんもらう、
そのことの学びのほうが大きいと理解しました。
なによりも、これはアーバン・パーマカルチャー。
海辺のわたしたちのように自然がすぐそばにあり、畑も普通にやっているという生活とはほど遠い、
都会のコンクリートジャングルでのゲリラ行動、そもそも生態系が壊れたところでの話。
参加者たちはこうした行為であらためて街のなかで活き活きしていない箇所や、
エッジといわれる境界線ゾーンに触れ、自分自身の中の何かの壁を超える体験もするでしょう。
にわかゲリラになって種を蒔きながら、お昼の場所まで移動です。
着いたのは開店して間もない、「食堂ぺいす」
古民家を気持ちよく改装した、ものすごく寛げるご飯処です。
そこをお借りしてのランチタイムと午後の講義。
今日のお楽しみは持ち寄りランチ。
一品持ち寄ってそれを交換しながら、全員の手料理を味わう、初めて逢う人のつくったものをいただく。
お互いを信頼しあってこその学びを含んだ持ち寄りご飯会なのです。
それぞれの料理はほんとうに心がこもっておいしそう〜
みなお皿を片手に身を乗り出して興奮の渦、こころとお腹の満たされたランチとなりました。
持ち寄り、最高です!
さて午後は「鎌倉がこんな街だったらいいな」というお題に沿って、グループに別れてのデザインワークでした。
4.5人でひとつのテーマを決めて、それについて話しあい、大きな紙に書きあって各グループの発表。
テーマはそれぞれ身近で大事なことでしたが、初めて逢う人と、ひざを交えて本音で話し合い、
ひとつのものにまとめていく作業は、創造的です。
ほんとうは、ご近所の、ふだんとても話の合わないと思ってしまっている人たちとこんなことができたら、
いいだろうなあと思ったりしました。
● たのしい革命
朝からのみっちりのWS第一部はこれで終了、
夜からはソンベ・カフェで第二部、スライドを見ながら世界のアーバンパーマカルチャーを巡る旅編、
世界各地でおこなわれている次への取り組み。
地球上に問題は山のようにあり、ときに絶望を感じるほどですが、パーマカルチャーはそうした問題を創造的に解決
していく力を養っていく方策の、大きなひとつでしょう。
これまでの世界は、誰かがなにかしてくれる、という自分以外の誰かにおまかせの依存型で思考停止状態が産みだしてきた
産物です。その結果、原発が爆発するような事態にまで来てしまった。
これからは一人一人が身の周りのできることから、世界を作りかえていく、平和で希望の持てる社会を創作していく時代、
そのためには楽しくなくっちゃ。
楽しい、ということはお互いの心を解き放つことでもあります。
そこを大事にしながら、社会の変革を目指しているのが海くんのアーバンパーマカルチャー。
深い思索を、楽しさに包んで伝道し、各地の動きを繋いで歩く海くんは、軽やかな革命家であり、行動する思想家です。
それも最高にグッドセンスの!
3.11以後に、こういう人が現われ出てきてくれたことに、わたしたちは次なる共生のカルチャーの創作へ勇気と希望を持つのです。
でもまた、それを誰かにお任せ、ではありません。
ひとりひとりが連帯してすべての命を尊重した世界を創作していく、
それは究極にクリエイティブなことではないでしょうか。
その楽しさを味わうことこそが人生かもしれません。
近代西洋文明が世界を席巻するまでは、世界のどの民族も当たり前に自然と密接に繋がり共生していました。
それをパーマカルチャーという新たな概念をもって提唱しなくてはならないほどに、
この100年ほどで世界中から、その智慧と工夫の文明が失われてしまいました。
今私たちはその智慧を掘り起こし、次世代へと繋いで、持続可能な文明を興していく端緒にいるのです。
この日のお終いにあたって、全員が今日の感想を一言ずつ。
ついつい長くなってしまうスピーチ、制限時間が来ると、海くんは何やら怪しい動きをし始めます。
海くんのダンスが始まると話し手は話し過ぎだぞ、というのがわかるのです。
始まりから最後までみんなが笑顔、思いきり楽しいWS、
当日から時間がたち、その日のことを思い起こしてみると、その時はとにかく楽しい!で終わったWSも
実はとてもよく練られた内容だというのがわかってきます。
こうした形にするに至るまでの、海くんの、思索し続けたであろう時間の深さも、今になって感じ取ることができ、
その表現のセンスにあらためて共感してしまう、
そんな長い長いONE DAYアーバンカルチャーワークショップでした。
最後になりましたが、
このWSの料金はドネーション制です。
海くんの費用の理念として、心ある交換を大切にしているということ、
そして、誰もがフェアにWSを受けることができるということ、
他にも理由はまだありますが、そのようなことから、払う額を参加者が決めるドネーションにしています。
料金を設定してしまうと、ある人には払えても、ある人には払えない、それはフェアではない、
みんなが参加できる形を考えてのことなのです。
ドネーションというと新しいようですが、アジアや日本の仏教世界でも喜捨という概念は古くからありました。
温故知新。
それをまた新しくスタンダードとしていく海くんの取り組みはほんとうにステキでアッパレです。
海くん、希望に満ちたWS、朝から夜までほんとうにおつかれさまでした!
さて、でもこれで終わりではありません。
次は私たちひとりひとりの日常の動き。それこそが革命なのですから。
ソーヤー海
東京生まれ。カリフォルニア州立大学サンタクルーズ校でバイオインテンシブ(有機)農法を学ぶ。サステナビリティとパーマカルチャーに出会い、平和心理学の勉強も始める。大学で「持続可能な生活の教育法」オーガナイザー兼講師を務めた後、年中米のジャングルに移住。その後ワシントン州ブロックス・パーマカルチャー・ホームステッドで研修。2012年日本に帰国。東京アーバンパーマカルチャーを立ち上げる。http://tokyourbanpermaculture.blogspot.jp
文・写真 矢谷左知子
*冒頭の写真はTUPサイトより転載