2014葉山芸術祭 開催中

2014葉山芸術祭 開催中

ポスター大
葉山芸術祭公式サイトより
あかり
葉山芸術祭公式サイトより

葉山芸術祭をご存じですか。
毎年、4月の後半から5月前半に、葉山では芸術祭が開かれます。
もともとは葉山町内だけで開催されていたごく小さなアートイベントでしたが、
今では鎌倉・逗子・横須賀・大磯、と広域に渡り、出展者も他県からの参加があったり、と、
どんどんと規模が拡がっています。
とはいえ、人と人の温かい交わりを大事にして、地元に根ざした基本姿勢を保ち続けている、
ローカリティ溢れたイベントであることは変わりありません。

神社一色
屋台
情報ブース

今年で22回を迎える葉山芸術祭。
今の運営方針になってから20年、筆者はその第一回から参加をしているので、もう20年ほど
関わっていることになります。当初の手作り感満載のチラシのデザインを担当したこともあり、
小さな点でしかなかった町の、ごく小さな催しものが、この20年、歩みを続けながら、
じっくりと熟成していく姿を目の当たりに見てきました。

良くも悪くも、ローカルという動きのなかから出てくる、様々な課題も抱えながら、
それでも、常に生まれ変わり、今ここにこうした形となっているのは、
主催者側の努力はもちろんですが、それをその方位に磁石のようにキープさせ続けている、
見えないけれども層の厚い、地域の人たちの意識の下支えがあるように感じています。

チカ
モンシェアハウス
オープンハウスの展示

葉山芸術祭の特徴の大きな一つは、個人宅やアトリエを、その期間開放し、
訪れた人たちとの交流を図るオープンハウス形式の参加がほとんど、ということです。
これは自然発生的に拡がり、すっかり定着したスタイルです。
これとても、例えば都市のような住人同士顔も知らず、隣の人とも交流なく、
共有するもののない地域では、治安上のこともあり、成り立たないことですが、
この地域では、ごく自然にできてしまう、
それはまず、前提となる共通意識がどこかにあるということのように思います。

たぶん、それは風土からくるものも大きいのではないでしょうか。
町が海に向かって開いているということ、
いつも海からの風が町全体をめぐる、風通しのよい地域であるということが、
住人たちの心をも健やかに、オープンにしているように思います。
またオープンハウスといった自宅の開放というスタイルも、顔見知りの多い、
この小さな地域ならではの形でしょう。この期間は、日頃行ってみたかった、
知らない方のお宅に行くこともできるのです。
一年に一度、この芸術祭の時だけ訪れる場所もあります。

ホーリー
庭
家が突然おもてなしの空間になります

それにしても、この時期になると、地域にはなんと多彩な人々が住んでいるのか、と
驚かされます。
アーティストやミュージシャンばかりでなく、
それらを繋いでいく人や、新しい動きをつくっていく人、
それらもまた表現のひとつです。

また、都市部などではたくさんの経費や労力を使って仕立て上げているような展覧会が、
ここでは、ごく日常の延長として、さらりとおこなわれています。
力の抜けた、それでいて質の高い動きが、当たり前に展開している、
日本のなかでも稀有な地域性をもっています。

同時期に逗子海岸で開催されている逗子海岸映画祭のテーマである
「Local to Global」
は、葉山芸術祭でも、またしかり。
この地域で共有されている意識であるでしょう。

地域での行動が世界をつくる、
自分たちの日常が、やがて世界のうねりを作っていく、
例えば、それは環境問題にも、大きく通じている、
その意識を多くの住人が共有している一帯でもあります。
これらのイベントでは、そうしたローカルな日常の姿を垣間みることができるのではないでしょうか。

今年も、たくさんの要素が合わさって、この地域の中にはあらたな渦が日々生まれています。

2おやこ
海辺
2014葉山芸術祭 共催企画より


22回目の今年は企画出展は100を超え、ついにA4版のガイドブックにはおさまり切れず
新聞紙サイズとなりました。

ますます拡大していく葉山芸術祭、
とても紹介しきれる規模ではありませんが
来る5/10.11の二日間は恒例の森山神社の境内イベント、「森山神社青空アート市」が開催されます。
3週間余りにわたって地域で点在開催されていた催しの最終日、クライマックスの二日間、
葉山芸術祭でのシンボル的な場所でもある、森山神社をたくさんのアートブースが埋め尽くし、
屋台村フードコーナーでは、町内のおいしいお店の料理やお菓子が並びます。
例年、超満員の人気イベント、一年でも葉山が一番美しい時季に、ふらりと訪れてみられてはいかがでしょうか。
この町の芸術祭の雰囲気の一片が味わえることでしょう。

自転車

葉山芸術祭の詳しい情報は
こちら
5/11までは他にもまだまだ、たくさんの催しがおこなわれています。

ガイドペーパが買えるサポートショップも記載されています。

明日からは筆者も連日のワークショップを開催、
いそいそとその準備に追われています。
海からの風が心地よくなってきた、このごろ。
5月の日々をたのしんでいきましょう。


文・写真 矢谷左知子
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