ストーリーのあるビオワインで豊かなひと時を

2015年に公開された映画『BELLA　VITA（美しい人生）』をご存知だろうか。イタリアに生まれ、アメリカで育ったサーファーであり、環境保全活動家である主人公クリス・デルモロが自分のルーツを探る中で、美しい人生とは、について考えるドキュメンタリー・ロードムービーだ。

劇中には舞台となっているイタリア・トスカーナでの華麗なサーフシーンのほか、自然があふれる気持ち良い農場の片隅でワイングラスを傾け、美味しい料理と豊かな時間を分かち合うシーンが登場する。共にオーガニック思考を持つ、農場主ピエルジョルジオ・カステラーニとクリスが出会い映画の中で生まれたのが、今回紹介する「ZIO BAFFA」だ。

「2015年の映画公開時に湘南T-SITEで上映イベントを企画したのですが、このワインを飲みながら鑑賞したいと思ってピエルジョルジオに直接メールをして、その上映会が実現しました。お客様からも好評で、そのまま湘南T-SITE内の湘南Loungeでも扱うことにしました」と話すのは、湘南T-SITEで料理本やワインのセレクトなどを行うコンシェルジュを務める間庭さやかさん。自身もイタリアに16年間暮らしたことがあり、ワイン片手にイタリア語という講座を開催したり、イタリア人シェフによる料理教室を開いたり、イタリアでのオリーブ収穫ツアーを企画したりと、イタリアの良さを存分に知り、広めている人物だ。そして、実際にカステラーニの畑を訪れ、その素晴らしさに直に触れたことがある人物でもある。

「カステラーニワイナリーを営むカステラーニ家は、ダンテの時代からフィレンツェの市井に関わってきた由緒と伝統ある農家です。自分が食べるもので自分の体はできているのに、体に悪いものを食べて不調になったり病気になったりしている人は多い。せっかく口にするものなら、体によく、安心なものを、というピエルジョルジオの考えの元、数カ所に分かれた農場では、伝統を大事にしながら、多種が共存できる農場作りや有機農法でのぶどう栽培など、自然・環境に配慮した農業が行われていました。また、映画を観て海を超えてやってきた一人の日本人である私を、同時期に農場を訪れていた世界的に有名なスポーツメーカーの社長と同じように歓待してくれたんです。農園内にあるキッチン付きの素晴らしい部屋（5つ星デラックスホテル並みの設備）を手配してくれて、時間が許す限り映画に登場するさまざまな職人さんの元へ連れて行ってくれました。彼の農業にかける想いや姿勢、肩書きに関係なく、どんな人でも分け隔てなく大事にする優しさに触れ、感激しましたね。この人は本物だって」。

日本での取り扱いがあるのは白と赤（イタリアではプロセッコもあるが日本未輸入）。辛口でスッキリとしているけれども物足りなさはなく、飲みやすい白と、ミディアムボディで重くなく、どんな料理にも合い、いつでも飲める赤。どちらともデイリーに飲めるカジュアルなワインだ。オープナーが不要なので、海や山、友人宅のバーベキューパーティなどさまざまなシーンに手軽に持って行けるのもポイント。

「普通ワインと言うと、品種は何で、何と合わせると美味しいといったことを考えながら飲むことが多いと思うんですが、このワインは誰と飲むか、を考えながら飲むワインかなと思います。私は、イタリアの魅力は家族だと思っています。イタリアでは言いたいことがあれば、目の前で全部言葉にします。それでぶつかって喧嘩になったとしても、解決することでさらに仲良くなる。家族であってもなくても、家族的なつながりが強い感じ。映画のテーマにもなっている伝統や家族、大事な人たちとの絆の素晴らしさを感じながら飲むと、また味わいが変わってくると思います」（間庭さん）。