イタリアはフードキャピタル(2/2)

トリュフの香りに酔う

10月になると、ピエモンテ州の小さな街「アルバ」に大勢の人が押し寄せる。イタリア人はもちろん、お隣のフランスからもキャンピングカーを走らせてやってくるほど。彼らの目当ては、「トリュフ」。そう、このエリアは、イタリアを代表するトリュフの産地。
10月の毎週末、街の中心の特設会場で開催される「トリュフフェスティバル」がお目当てなのだ。

トリュフフェスティバルは、いわばアルバの食の祭典。入場料2ユーロを払えばだれでも入場できる。会場の外は、まるで日本の縁日。食の祭典に全く関係のない出店が軒を連ね、人々の通行の邪魔をする。ファッションの国イタリアとは思えない絶妙なセンスで、中国製の衣料品や、いったいいつ持ってあるくのか分からないようなバッグ、果ては布団まで売っている。よく地域の小学校で行われているバザーが巨大化した感じと言ったら分かってもらえるかもしれない。この微妙な出店があるせいで、人々の通行は妨げられ、会場に辿り着くまでに多くの時間と体力を消耗することを覚悟してほしい。
italia_06.jpg前置きが長くなってしまったが、会場に入るとすぐにある香りに気づく。これが「トリュフの香り」なのだが、初めて香りを体験する日本人は、「ごはんですよ」だと思ってしまう。しかし、この香りには、媚薬成分が含まれているのか、ずっと嗅いでいると、お酒に酔った感じがする。さすが魅惑のキノコ。特に、黒トリュフは「ごはんですよ臭」が強いのだが、この時期のダイヤモンド「白トリュフ」は、数倍もエレガントな香りがする。このエレガントの香りとひきかえに、黒トリュフの4倍の値がつく。トリュフ自体はパサパサしたきのこで、あまり味がない。香りにお金を払うきのこだ。
会場入場時、18ユーロを追加して払えば、記念のワイングラスとピエモンテワインのテイスティングチケットが入手できる。簡単に言えば、ピエモンテのスプマンテやワインを好きなだけ飲んじゃっていいよというチケットだ。トリュフの香りにつつまれ、ピ
エモンテのチーズやハムをつまみながら、がぶがぶワインを立ち飲みする。まさになるほど・ザ・ワールド食の祭典スペシャルと言う感じ。これが結構楽しい。日本人は、トリュフを買っても仕方ないので、白トリュフを使ったトリュフペーストや、トリュフを詰めたトリュフオイルを買うと、日本に帰ってもトリュフフィーリングが楽しめるのでおすすめだ。
italia_07.jpg特にメニューにはないが、シンプルに、チーズをかけた目玉焼きをオーダーしてほしい。
その上に白トリュフをたっぷりかけてもらうと、これが、口の中で育まれるハーモニー。
白トリュフのありがたみを実感できる一品だ。

これだけ、トリュフの香りに包まれると、このトリュフの香りがとても食欲を掻き立てるようになっていることに気づく。「ごはんですよ!」と混同していた自分が恥ずかしい・・・。以前は、地中のトリュフを探すために、豚が使われていたが、現在は犬。
犬もこのトリュフの香りに興奮し、見つけたトリュフを犬に食べられないようにするのが大変だそうだ。おいしいものではないのだけど、今のKazuquoなら、犬の気持ちが理解できる。
そう、トリュフはまさしく魅惑のキノコなのだ。秋にイタリア旅行を計画するなら、ぜひトリュフを食べに、ミラノ近郊を旅してみてはいかがだろうか?
italia_08.jpg会場でも白トリュフを堪能できる。白トリュフスライスをたっぷりかけたチーズリゾットなんか売ってるんだけど、地元のおばちゃんが作っていて、決して「うまい!」という代物ではない。ワインに酔った客はだませても、Kazuquoは騙せない。さらに白い発泡スチロールみたいな器でサーブされるので、屋台風に出す代物なのか?と疑問がわいてくる。
この季節白トリュフを堪能するなら、アルバから車で20分の隣町、ポレンツォにあるKazuquoおすすめのレストラン「GUIDE」を訪ねてほしい。このレストランは、ミシェラン1つ星を持つレストランで、ポレンツォの領主のお城の一部を改装した素敵なレストラン。この時期、白トリュフ特別コース料理が設定されている。白トリュフに会う料理がコースになっているのだが、白トリュフは別料金。白トリュフをかけてほしい料理に、30ユーロを払って白トリュフをスライスしてもらうのだが、これでもか!どうだ!皿がトリュフでみえないだろ!と言わんばかりにスライスしてくれるので、30ユーロは決して高くのはないので安心してほしい。
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