イタリアはフードキャピタル(1/2)

おいしいイタリアンて?

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italia_01.jpgパスタ、ピッツア、ジェラート・・・。日本人を虜にするイタリアンフード。主に日本人がイメージするイタリア料理は、ローマやナポリなどのイタリア南部の料理であることをご存じだろうか?パリパリのうす焼き生地に水牛のモッツアレラチーズをたっぷりのせて、トウガラシの入ったオリーブオイルをかけ「がぶっ」と食べる、これがまたうまいんだけど、こんな食体験は、さんさんと降り注ぐイタリア南部の太陽の下で食べるもの。

クライアントのイタリア旅行をアレンジするとき、レストランも合わせて提案するのだけど、ほとんどのお客様は、「おいしいイタリアンが食べたい!」と言う。この希望にお応えするのはちょっと困ってしまうのだ。たとえ、現地のイタリア人に「おいしいイタリ
アンのお店を教えて!」といっても、よい返答は得られないだろう。というか、現地のイタリア人にとっては???という感じに違いない。イタリアは、地方によって異なる料理文化を持っているので、どんなものが食べたいのか、しっかり言わないと、好みのレストランを案内してはもらえないのだ。
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例えば、ファッションの街「ミラノ」。ミラノは、イタリア北部ロンバルディア州の州都。
この地方の名物と言えば、牛などの家畜の肥育が盛んな土地柄、ハムやサラミ、チーズの種類が豊富。ティラミスなんかによく使う「マスカルポーネチーズ」もこのエリアのチーズ。ロンバルディア州の県ごとに、いろんな特産があるから、ロンバルディア料理とはいいにくいんだけど、とうもろこしの粉を使った「ポレンタ」という料理も有名。それから、ミラノ風カツレツ。ミラノ風カツレツとは、豚肉を薄く叩いてのばし、衣をつけてあげた料理で、オーストリアの「シュニッツエル」と酷似しているのだが、日本で言うなら、薄っぺらなとんかつって感じ。とんかつにはソースが必要なように、このミラノ風カツレツにもソースがほしいとKazuquoは思うが、何もでてこない。ひたすらこの薄っぺらとんかつを食べなければなない。ロンバルディアの人々は、「この地方からオーストリアに伝わったんだ!」と言うのだけど、その真意は定かではない。というか、私たち日本人には、全くと言っていいほど関係のない話し。だって、まずくはないけど、「また食べたい!」と思うようなものではないのだから。まっ、とにかくロンバルディアは、山々に囲まれ、冬の寒さが厳しい土地だから、チーズやバター、ソーセージやハムなど、保存に適した食材をよく使う。皆が思ったよりも、こってり、しっかりした料理が多い感じで、ときどき重いなあ?と思うこともあるくらい。

italia_03.jpgロンバルディア州のお隣「ピエモンテ州」は、スローフードの故郷。ピエモンテ州も県によっていろんな料理があるので、ひとえに説明できないけど、結構、生肉を食べるの。それから、日本人も大好きな「バーニャカウダ」はこの地方の料理。他にもいろいろあるけど、特筆すべきは「ワイン」。ピエモンテは、温かい地中海からの海風と、アルプスからの詰めたい吹き下ろしの風が出会い霧の発生しやすい場。ブドウ栽培に適した比較的高度の高い丘陵地帯で、ワイン造りに必要な適度な湿度が保たれ、ワイン作りに非常に向いている。イタリアを代表するワイン「バローロ」や「バルバレスコ」もピエモンテ州のワイン。バローロを使ったリゾットは、米とワインの産地ならではの一品。その他、四季折々の野菜やキノコ。そう!イタリアキノコ界の王様、「魅惑のトリュフ」や、味わい深いポルチーニ茸の産地でもあり、イタリア人ならだれもが認める「食の都」と呼ばれるほど豊かな食材に恵まれているのだ。
italia_04.jpg話は変わって、皆も大好きな「カルボナーラ」。ミラノやベネチアでカルボナーラを注文するのは、野暮な行為ということを知っているだろうか?観光客向けのレストランならまだしも、地元のお店では、「????」って顔で見られちゃうかも。そんな恥ずかしい経験をしないためにも知っておくべきは、それぞれの料理の由来。例えば、カルボナーラって、ローマ近郊の炭焼きで有名な村「カルボナル」に由来しているらしいのだけど、この村の炭焼き小屋の人が、卵と豚のほほ肉で、ぱぱっと作ったパスタがカルボナーラらしい。
なので、カルボナーラはローマで食べるべきものなのだ。

こんな風に、イタリアは、各地方ごとに食文化を持つ。日本人には、全部イタリア料理と思うかもしれないが、もともと都市国家を寄せ集めてできたイタリアでは、各地方ごとのアイデンティティがしっかりしているので、各地方、各県の個性を理解して旅すると楽しさ倍増!

まっ、こんな感じで、イタリアは、場所によってまったく料理が違う。場所によって気候も異なるし、文化も違う。ローマが、紀元前から続いていることを考えれば当然なのだけど・・。日本だって、沖縄の「ヒージャー汁」を青森では食べないし、秋田のきりたんぽを鹿児島では食べないでしょ。
イタリアに行ったら、イタリアンが食べたい!といわずに、ロンバルディアの料理が食べたいとか、シチリアの料理が食べたいなど、せめてエリアを指定して尋ねると、よいお店を教えてくれると思う。毎日食べ歩くのが楽しくて仕方ないはず。体重が増えることは大前提。それよりも、飲み食いに使った多額のお金が、全部同じ色の物体になって、外に出て行くことが淋しいのだけど、頭の中に様々なインスピレーションが残るので、イタリア食べ歩きは意義のある行為だと認識してほしい。
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