イラストレーター平尾香の気ままふらり飲み vol.1

みんなでワイワイ飲むのもいいけれど、ちょっと気分転換したい時、一人でゆっくりしたい時、女性一人でふらりと訪れて勝手気ままな自分のためのお酒を楽しめる湘南近郊のお店をイラストレーターの平尾香さんがご紹介。

鎌倉の由比ヶ浜通り六地蔵の交差点で、ひときわ目立つ二階建ての小さな古い建物がある。かつては銀行だったことから、名前は”THE BANK”。今は、バーとなって鎌倉の町のシンボルのような存在です。土日の営業時間は午後3時から。ドアを引くともう先客がチラホラ。明るい時間から飲むお酒が美味しくて、贅沢な時間だなって思うのは私だけじゃないよう。

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カウンターの前の茶色い革のスツールにお尻を滑べらせて、さて何を頼もうかなぁ。今日の一杯目は、ヨロッコビールを。逗子の工房で造られた地ビールを丸みのあるグラスに注いでもらう。美味しくて、く~っとなった顔をテキパキ働くエミさんに見られてお互い笑ってしまう。


魅惑のカウンター席

店内奥のカウンターはカーブを描いていて、真鍮の肘当てポール付き。頰ずえなんかして、バーテンダーの野澤さんの後ろに見える綺麗なお酒のボトルをぼんやり見たり。店内中央には、もともと銀行の窓口として使われていたカウンター、こちらは立ち飲みにも使える高さ。見渡すと、天井は高く、漆喰のレリーフに大きな鏡。べンチシートのテーブル席には、観光客らしきカップル。地元のグループ。

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カウンター席で、初めましての隣客と少しお話しすると、東京から鎌倉に遊びに来るたびに立ち寄るとか、家族のご飯支度の前のしばしの自由時間とか、ふらりと一人で飲みにくる女性客も多くて嬉しくなる。


勝手気ままな自分のためのお酒

誰かと約束してとかではなく、勝手気ままな自分のためのお酒。2杯目のお酒を頼む頃、曇りガラスから注ぐ光が、徐々にまろやかな虹色に。ちょっと外見てきてていい?と外に出ると鎌倉の町の空が綺麗に染まっていました。そこへ友人が偶然やってきて乾杯して、あっという間に外は夜。

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信号と車のライトの光が滲んで店内に差し込む時間。はい、そろそろ次のお店へいきましょう。今夜の鎌倉も長い夜になりそうな。

text&illustration : kao hirao
SPECIAL 平尾香さん紹介記事
住所:鎌倉市由比ヶ浜3-1-1
TEL:0467-40-5090
営業時間:火~金 17:00~1:00AM 土日15:00~1:00AM
定休日:月・火
土日祝のチャージ:500円
ヨロッコビール:1,200円

平尾香 プロフィール

画家 /イラストレーター。神戸生まれ、逗子在住。広告制作会社での勤務ののち、母校である京都の嵯峨美術短期大学助手を経て、アーティストとして活動。旅や自然から受けたインスピレーションを優しいタッチで描く。世界的ベストセラー、パウロ・コエーリョ作『アルケミスト』や『ベロニカは死ぬことにした』などの挿画を担当。現在は逗子にアトリエ兼住居を構え、写真やエッセイなどあらゆる角度で製作活動にいそしむ。Instagram@kaohirano_illustration
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