イラストレーター平尾香の気ままふらり飲み vol.4

みんなでワイワイ飲むのもいいけれど、ちょっと気分転換したい時、一人でゆっくりしたい時、女性一人でふらりと訪れて勝手気ままな自分のためのお酒を楽しめる湘南近郊のお店をイラストレーターの平尾香さんがご紹介。辻堂駅から歩いてすぐの裏道は、一見住宅街のようですが、2階建てぐらいの昭和な店舗建物に世代交代したことがわかるイマドキの看板を掲げた飲食店もポツポツ並んでいるエリア。ここ "Monk" もそんな世代交代の香りが漂うレトロな外観のイタリアンとヴァンナチュールのお店。

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静かな道からドアを開けると店内は、かなり賑やか。金曜日の夜は、グループのお客さんでテーブル席は満席。目にも賑やかに飛び込んでくるのが、そのお客さんたちの座るえんじ色のベルベットの低めの椅子とソファー。そして、ペパーミント色の壁。ステージだったであろう奥の席の床材やカーテンに照明など元スナックだった当時のお店の雰囲気を残したままの部分。そして、ペパーミント色の壁、カウンター内の白いタイルに無垢材の棚、ステンレスの機能的な厨房などの新しい部分。新旧入り乱れた感じだけど配置のバランスが良くて、なんともセンスの良い空間に。

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カウンターの端っこに座って、備え付けのタップから注がれたクラフトビールを飲みつつ、さて何を注文しようかしら。メニューは、ペラっと置かれたA4コピー用紙にびっしり手書き文字で書かれたもの。旬の食材の組み合わせや料理を想像しながら、読み甲斐があるメニューとにらめっこ。前菜だけで18種類もある豊富さだが、お店を回しているのはエプロン男子2人のみ。ボタンダウンシャツにエプロンのシェフの石井さんの作る料理が、ボーダーロングTシャツにエプロンのオーナー玉井さんによってどんどん運ばれてゆく。

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お2人の連携と無駄のない動きで、頼んだ「カキとカブのコンフィエシャロットのソースサラダ仕立て」はすぐにテーブルに。牡蠣がカブのベットにのって、鮮やかな葉っぱのお布団かぶったみたいやぁとひとりで声に出して食レポするわけでもないが、オリーブオイルをまとった輝きに目を見開いてしまう。エシャロットソースの酸味がアクセントになった美味しい一皿をゆっくり味わう。

牡蠣にも合いますよとオススメされたイタリアの白ワイン。料理に合わせてヴァンナチュールがグラスでいろいろ飲めるのも嬉しい。お次は「ホワイトアスパラガスのソテー菅野君の卵と」アスパラの上に乗った卵にナイフを入れると思ってたより白っぽい黄身がたらりと絡んで。とっても濃厚な旨み。やるなぁ、菅野君!暖かみのある陶器のお皿に乗ってくる料理は、どれもボリュームがあるのだけれど、ひとり客には半量でお出ししますとの事。グループで来てシェアして一度に色々味わうのもいいけれど、訪れる度に違うメニューを少しづつ頼んでゆっくり味わい尽くしていく楽しさもたまらない。

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気がつけば、バタバタだった店内のオーダーも落ち着いた時間。外までエプロン姿の2人が笑顔で見送ってくれた。商店街でも繁華街でもない場所で、ご近所感覚で飲める湘南エリアのラフさが居心地いいんだなぁと、感慨にふける楽しく美味しい一夜であった。

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text&illustration : kao hirao
SPECIAL 平尾香さん紹介記事

MONK

住所:藤沢市辻堂2-8-18
TEL: 0466-66-6409
営業時間:月~木曜 12:00~15:00(14:00L.O.) 18:00~24:00(23:00L.O.) / 金曜 18:00~24:00(23:00L.O.) /
土日祝15:00~24:00(23:00L.O.)

平尾香 プロフィール

画家 /イラストレーター。神戸生まれ、逗子在住。広告制作会社での勤務ののち、母校である京都の嵯峨美術短期大学助手を経て、アーティストとして活動。旅や自然から受けたインスピレーションを優しいタッチで描く。世界的ベストセラー、パウロ・コエーリョ作『アルケミスト』や『ベロニカは死ぬことにした』などの挿画を担当。現在は逗子にアトリエ兼住居を構え、写真やエッセイなどあらゆる角度で製作活動にいそしむ。Instagram@kaohirano_illustration
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