イラストレーター平尾香の気ままふらり飲み vol.6 やすざみや

みんなでワイワイ飲むのもいいけれど、ちょっと気分転換したい時、一人でゆっくりしたい時、女性一人でふらりと訪れて勝手気ままな自分のためのお酒を楽しめる湘南近郊のお店をイラストレーターの平尾香さんがご紹介。今回のお店は江ノ島ボート小屋の"やすざみや"。こちらのお店はゴールデンウィークにオープンしたばかり。

久しぶりに綺麗な夕焼け空を見ながら向かった先は「やすざみや」さん。お店のある江ノ島へつながる路線は、小田急、江ノ電、湘南モノレール。前回は小田急線の江ノ島駅から橋を渡って川沿いをポツポツ歩いて、この日はモノレールにぶらさがって、ちょっと高い位置からの夕焼けをみながら。初めてだと通り過ぎてしまいそうな店構えは、川沿いのボート小屋の2階と覚えていました。ドアの上の小さな灯りが目印です。階段を登って店内に足を踏み入れると、そこは想像よりゆったりしていて明るく気持ちの良い空間が広がっています。



「いらっしゃい」と店主のじゅんじゅんさんの澄んだ声がカウンター越しに聞こえて、先客を超えて真ん中あたりに腰をかけて、生ビールを一杯。まだ外は色のトーンを落とした夕焼け空が川の水面に映っているのが、カウンター奥のテーブル席の窓から見えます。その奥には3階につながる階段があって、上はお座敷になっていて大人数にも対応できる作りになってます。



バインダーにとめられた手書きのメニューには、おばんざい的、中華エスニック風。定番になってるものから日替わりのものまでいろいろあります。その中でも、おまかせ三品盛りあわせは前菜的メニューから三品を一皿に盛ってくれるおひとりさまに嬉しいメニュー。ポテトサラダの中にしば漬けが入ってたり、きんぴらの素材が山クラゲで山椒が効いていたり、このひとアレンジが女心をくすぐります。先客のマダムはご近所さんで、お店ができて勇気を出してドアを開けて大正解だったとのこと、旦那様の留守の夜はよく来られるそう。



楽しいお話してると、夜も進んで知ってるお顔がアルバイトでカウンターの中に入ったかと思うと、カウンターに座ったもう一人も、じゅんじゅんさんが立ってた前の鎌倉のお店からのお客さんたち。そういう私も。メインにもう一品。定番の味付けも選べる唐揚げ、自家製さつま揚げなども人気ですが、気になった牛ハラミと空芯菜のサラダを頂いて、ちょっとお隣におすそ分け、彼女はたこのカルパッチョをアテに白ワイン。私は風味のきいたシチリアのレモネードで割ったシチリアサワーを二杯目に。



女の人しかいないお店の空気もいいものね。帰りは、一番近い江ノ電の駅からお酒の余韻にも揺れて、優しい気持ちになった夜でした。

text&illustration : kao hirao
SPECIAL 平尾香さん紹介記事