Brisagram! 海辺の草こよみ vol.45

緑のなかに住むこと

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

真夏らしい日が続きます。
一年でも最も緑にむせかえる時季ですね。
どこもかしこもみるみる緑で覆われていきます。

今日はまさにそのまっただ中、
草に埋もれた、緑のジャングルの中の我が家の様子を・・
すこしひんやり、涼んでいただけるとよいのですが。

以前も少し紹介させていただいたことがありますが、
私の家は山のちょうど中腹、細い坂道の途中にあります。
海までは駆け降りると2分ほどで着くのですが、家の前の道はかなり急坂で、しかも車が入らない、
歩いてしか到達できない場所にあります。
しかも道からさらに奥にはいるので、世間から見えない、
ひっそりした隠れ家です。

坂

下からあがってくるとこういう感じで
(遠く猫がお出迎え)

上の道

上から降りてくるとこんな風景、
富士山を望む絶景です。
島に住んでいるような錯覚も覚えます。

坂道は途中からころがるほど急になるので、台車も使えず、日常の買い物も、
重い荷物もすべて手で持って、背中にかついでのエンヤコラ、
海辺の山岳民族。

時々頼まれてお弁当をつくってお届けしていますが、
そんな時も、この急坂をたくさんのお弁当を平行にかついで登るのです。
日々、覚悟と工夫の連続、
遠い駐車場までやっとたどり着いたら、忘れ物でまた駆け降りて駆け上がって。

我ながら感心してしまう暮らしですが、
車が入らず、不便だからこそ残っている自然の森、植物、
キジやコジュケイ、リスやたくさんの鳥たち、との暮らし。
少し前まで、人もこんな暮らしが当たり前だったのですね。

庭はアゲハ蝶のルートでもあるようで、たくさんの蝶が飛び交います。
もちろん、虫さんもたくさん!
虫も好きなので、逢うと挨拶したり、声かけたり。
そう、挨拶する相手がもうたくさんです。
草や花や木、みんなに、おはよう、ただいま、と声をかけています。

毎日、人よりも、人以外の仲間に囲まれています。

山道から家へのアプローチはこんなです。
うっそうと緑に覆われた密林の様相ですね。

アプローチ

アプローチを進んで行くと、やっと到着。
ここが玄関。

玄関

ここが我が家+草舟
小さな小屋。
ときどき草のワークショップをやっています。

玄関をスルーして庭へ回ると・・

猫が待っていたりします。

庭ひな
庭ひな2

テレビもラジオもない生活、
ここで暮らしていると、世界でなにが起きているのか、知らないままでもいられます。

夜はまっくらな森のなかを通って家路に着くのですが、
木や森も家族のような関係で、暗いなか枝を拡げて、おかえり〜と迎えてくれる
大きなタブの木も居てくれます。

ここはひとつの地球のようなところ。
いろいろな生態系が循環しています。

今はそこでいろんなことをおしえてもらっている最中です。

木や草や虫から、おしえてもらったこと、
またこっそりと書きますね。

写真 文 矢谷左知子
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」草のワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。

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