Brisagram! 海辺の草こよみ vol.57

うちの猫から世界の動物たちへ

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

道ねこ

うちには白い小猫がいます。
女の子なのですが、ほとんど家には居ず、山猫のように辺りの野山を走り回り、
お腹が空くときと、ちょっと甘えたいときだけ家に帰ってくる、
眠るのも外が多い、そんな子。

夜、真っ暗な森の山道を家路に下っていると、闇夜に真っ白な小獣が突然飛び出し、
私を先導するように走り、またどこかに消えていく、、
そんな、不思議な子です。

猫は家に居るものだと思っていました。
が、そんなことにはなりませんでした。
この子は小さな頃から、雪の日も嵐の夜も外に飛び出したまま。
一昼夜帰ってこないこともよくあります。
雨の日など、一日室内で一緒に、しっとりと猫と居たいのになあ、と、
こっちが寂しい思いをする、そんな猫。
ペットというよりは、シェアメイトのようでもあります。

昼寝ねこ

人のコントロールには沿えない子。
首輪は何度しても、いつもどこか出先で取ってしまうので、とうにあきらめました。
最低限のケアと最大限の愛で守りながら、いつもそばで寄り添いつつ、彼女の生を尊重する日々。

とはいえ、不器用な甘えん坊、
甘えヘタなぶん、控えめに甘えている姿はほんとうにいとおしいです。

あかちゃんねこ

そんなうちの猫をかわいがる一方で、いつも、
この世界で人間の一方的な都合のために、その生を絶たれている、
たくさんの生き物のことに思いを馳せます。

身近なところでは、犬猫の殺処分や、虐待などのいたましい出来事、
海のゴミや、海洋汚染のために命を落とす、ウミガメや海鳥やクジラたち、
熊など、奥山に生息できなくなって里に降りて来たため撃たれるものたち、
自動車道路に分断されて生息区域を奪われていくものたち、

遠い地でも、たくさんの野生動物たちが、追いつめられ、
環境の破壊や密猟のために絶滅していっています。

そのことを思うと、 胸が苦しくもなります。

ちびねこ

ではなにをどうしていけばいいのだろう、と思いつつ、無策の私は、
そうした動物のためにアクションを起こしているサイトで署名をしたり、
せめて、うちの小猫を、やさしくひと撫でするごとに、
今苦しい動物にこの一撫でが届きますように、
皆が幸せになれますように、と、祈るくらいしかできません。

浜に降りる時には、すこしでもビニールゴミを拾うようにしていますが、
クラゲと間違って飲み込んでしまうのもよくわかる、そんな形状のカップ容器やビニールの、なんと多いこと!
今、亀や海鳥、クジラたちの胃袋はビニールゴミだらけと聞きます。
夏のビーチでたくさんの人が肌につける日焼け止めの化学成分も、海の生き物を苦しめているようです。

今という時代は、私たちのごくありふれた日常が、確実に環境破壊に繋がっているという、
ややこしい構造になってしまいました。
うちのほうでは、お風呂などの下水がすべて海に流れますが、
側溝はシャンプーや洗剤の匂いが立ちこめています。
これがすべて海へ流れる、そう思うと、せめて、日々の暮らしのなかで、
すこしでも循環に差し支えのないものを使うしかありません。

自分ひとりでもやる、そこからしか世界は変わっていかないのです。
逆にいえば、一人でも、そこから変えていくことが出来る。

すぐそばに居てくれる、うちの猫を通じて、世界中の動物たちに気持ちが届きますように、
そんな心持ちで、この野生の子と一緒に居ます。
すこしでも多様な生き物が、その生を全うすることができる地球にしていくために、
足もとの、できることをしていくしかありません。

違う種族との暮らしは未知の世界との遭遇でもあり、たくさんの扉を開いてくれ、
いつもおそわることばかりです。

それにしてもうちの猫さん、
今日も朝からまだ姿を見ませんが。
まったく、どこで何をしてるのでしょう。

世界中の生き物のために、どこか見えないところで、ウォリアー(戦士)として働いてくれてたりしないかしら・・


だら猫

写真 文 矢谷左知子

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