イタリア発、福島の子どもたちのためのグローバルな支援プロジェクト(2/2)

イタリアで過ごす一夏の経験が子どもたちの“活きる力”を育むということ

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そもそもオルト・デイ・ソーニがホームステイという形ではなく、あえて大家族での集団生活という滞在スタイルを選んだのは、言葉も文化も異なる環境に対する子どもたちのストレスを最小限に抑えるため。ボランティアスタッフはひとりひとりが環境に馴染めるようサポートを行うのですが、そんなスタッフや日本に残る親たちの心配をよそに、思いの外、子どもたちは見知らぬ土地でのこれまで体験したことのない生活にもすんなりと馴染む順応力を発揮しているようです。出発するときには不安そうな表情を見せていた子どもも、あっという間にサルディーニャでの仲間との集団生活に慣れ、思う存分に夏休みを満喫している様子。それには、先に述べたアクティビティプログラムの充実やスタッフのサポートももちろんのこと、サルディーニャの自然やそこで暮らす人々のおおらかさも大きな役割を果たしています。土地の持つパワーやおもいやりあふれる人々との触れ合いの中で、子どもたちに備わる柔軟な感性が本来育つべき方向にむかってすくすくと力をつけていくのです。遠く海を隔てた日本の子どもたちを両手を広げて受け入れるイタリア人のグローバルな感覚や、地に足をつけて生活するサルディーニャの人々の姿から、実にたくさんのことを学んでいるのではないかと思います。そして、それはそのまま彼らの“活きる力”となり、子どもたち自身の未来を育んでいく大切な財産となっていくのです。

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サルディーニャでの一ヶ月の滞在を終えるころ、見違えるようにたくましく成長した子どもたちの姿と出会います。幼い彼らにとって一ヶ月にわたる異国の島での滞在は、心身の健康を促進するのはもちろんのこと、コミュニケーション能力や行動力、自分で考える力といった部分でも大きな成長の跡が見られるもの。共同体の中で協力し合うことや譲り合うことを学び、言葉や文化の異なる人々とのコミュニケーションを体験し、のびのびと五感で自然を感じ、食事や笑顔、その他様々な経験を仲間とシェアすることの喜びを発見した彼らはみないきいきとした表情にあふれます。日に焼けた肌ときらきらと輝く彼らの瞳の眩しいことといったら! ちょっと見ぬ間にぐんと大人になった彼らの姿は、日本で帰りを待つ家族たちにもまたたくさんの笑みを届けていることは言うまでもありません。

そんな福島の子どもたちとその家族たちへ大きな安心と笑顔をもたらす「オルト・デイ・ソーニ」が、来年の夏も、その次の夏も、そして子どもたちが成長し大人になり自分の力でイタリアへ行くことができる日まで、ずっと変わらず存続し続けることを願います。ボランティア活動の一番難しいところはやり続けていくこと、存続していくことにあるので、「オルト・デイ・ソーニ」が福島の子どもたちのために在り続けていくためには、多くの人々の安定したサポートが必要ですが、それをすべてイタリアの人々に任せてしまうのはあまりにも申し訳ないと思うのです。彼らが子どもたちへ与えてくれるグローバルシップな愛情に対して、私たち大人も自らの意思で応えたいもの、と子どもたちがサルディーニャの夏の家で学んだと同じよう、このプロジェクトの経過を聞く私たちにもまたたくさんの学びや気づきがあることに気付かされるのでした。

オルト・デイ・ソーニHP
オルト・デイ・ソーニでは、イタリアおよび日本での活動を共にする仲間を随時募集しています。ご興味のある方はinfo@ortodeisogni.orgまで!
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