イタリア発、福島の子どもたちのためのグローバルな支援プロジェクト(1/2)

湘南出身の姉妹が福島の子どもたちのためにイタリアの仲間と立ち上げた「みんなの家」

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みなさん、今年の夏休みはどのように過ごされましたか? 海外旅行を楽しんだ人、国内で家族と一緒にゆっくりまたはわいわい過ごした人、もしくは忙しくて夏休みどころじゃありません!という人も少なくないかもしれませんね。大人にとっても「夏休み」は特別な響きを持つものですが、子どもたちにとって「夏休」みがどれだけ楽しみなものであったか、またはどれだけ大きな時間を意味する休暇であったか、大人になったみなさんは記憶していますか?

東日本大震災から5年目となる今年もまた、イタリア、サルディーニャ島からは元気いっぱいに夏を過ごす福島の子どもたちの声が聞こえてきています。震災後、国内のあちこちで福島の子どもたちのためのサマーキャンプや、夏休みを利用したサマーステイが実施され、5度目の夏となる今年も、様々な地域で様々なプロジェクトが実施されています。そんな福島の子どもたちのためのサマーステイとして、今回紹介したいのが海を愛する湘南出身の姉妹がイタリアで立ち上げた、ミラノ発の「オルト・デイ・ソーニ」。イタリア語で“夢を育てる小さな畑”を意味するプロジェクトです。

自然豊かなサルディーニャ島につくられた子どもたちの家

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震災後イタリア在住の日本人と日本を愛するイタリア人によって設立された非営利協会「オルト・デイ・ソーニ」は、2012年夏より、福島の子どもたちの健康とグローバルな成長を応援する転地保養プログラムを実施しています。100%ボランティアスタッフによるこのプログラムは、福島の原発事故で被災した子どもたちを放射能の不安から解放し、健康維持と免疫力の向上、異文化の中での好奇心や自立心の向上の支援を目的としているもの。福島の中でも特に放射能の不安や影響が多い地域に住み、社会的・経済的な理由から移住や海外への留学の機会を持てない8〜12歳の子どもたちを対象に、すべて無料招待(日本国内の移動交通費は除く)という形で実施されているものだということを先に述べておかなくてはなりません。

保養の効果を実証する国、イタリアが提案するデトックスプログラムとは?

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夏休みを利用した子どもたちのサマーステイは一ヶ月。たった一ヶ月と思う人もいるかもしれませんが、イタリアはチェルノブイリ原発事事故後、保養地としてチェルノブイリの子どもたちを受け入れてきた国で、一年のうちのわずか一ヶ月であっても、心身ともに成長期にあり活発に細胞が新しく再生される彼らにとって、放射能の不安から解放され子どもらしく健康的に過ごす期間を持つことが体内の放射能を排出につながり、結果として免疫力・抵抗力が向上されることはすでに実証されています。

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オルト・デイ・ソーニの保養地として選ばれたのは、地中海に浮かぶサルディーニャ島。豊かな自然と、その地理的立地からイタリア本土とはまた異なる独自の歴史と民族文化が特徴の島です。島人は堅実で手仕事に長け、自然と共存しながら日々の生活を営んでいます。サルディーニャの島民性同様、カーサ・オルト(子どもたちが滞在するみんなの家の名称)での子どもたちの生活はいたって堅実・質素。言葉も習慣も違う国で、仲間とスタッフとともにみなそれぞれに協力し合い共同生活を営みますが、それは言うならばひとりひとりがみな「大家族」の一員のようになって生活するということ。幼い彼らにとって、親元から離れての一ヶ月の大家族との共同生活はいったいどんな経験となるのでしょうか?

限られた時間の中で子どもたちが最大のデトックス効果を得るために用意されるのは、「自然との共生」、「健康的な食」、「異文化に触れ視野を広げる」をテーマとした様々なプログラムです。

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滞在中の生活では、子どもたちは掃除や洗濯、食事の用意のお手伝いなど日常作業を分担して行い、庭の畑では自分たちで食べる野菜やハーブの世話し、サルディーニャの子どもたち同様魚のようになって海で遊び、元気いっぱいにサッカーボールを追いかけます。食事は質素であるけれど、新鮮な野菜や旬の土地の食材がたっぷり使われた地元のごはんが用意され、日本に帰ってからもイタリアの味が再現できるようにと、イタリア人のマンマたちからお料理を習うお料理ラボも開催されます。

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野外キャンプや乗馬体験、地元の人々との国際交流など、スタッフによって用意される多彩なアクティビティプログラムも素晴らしく、カリアリ大学の協力により尿検査やエコー検査などの検診が実施されていることも特筆すべきでしょう。
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