Brisagram! 海辺の草こよみ vol.8

ウインターブルー

海を臨む森のなか、季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの
湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

布大

洗濯物を干していたら・・
おやまあ、向こうの海と同じ色ではありませんか。

今回は冬の青とお日さまのことを・・

先週はつめたい日が続きましたね。
暖かい海のそばでも毎朝氷がはって、いつにない冷え込みでした。

寒いのは苦手なのですが、冬の日差しは、一年のなかでも一番好きな日差しです。
空気が澄んで煌めきが最高度の、この冬の日の光には、地上を清浄なものに変えてしまう
作用があるように思います。雪もそうですね。あたりをいっぺんに清める魔法の力を持っ
ています。寒い冬、気温が低くなったときにだけ、それを待って現われ出る天体現象は
一年間の汚れを払いのけてくれ、気を入れ替えてくれる、そんな気がしています。
冬至が過ぎ、太陽も生まれ変わってあらたな光を発しはじめる。
新旧のお正月はちょうどそんな時季、一年の始まり、元旦が冬の極まりの時期、というのは
ちゃんと意味があるのですね。

海

透明な冬の日差しに洗われ晒されるのが大好きです。
光の粒子が身体を洗ってくれるような感じなのです。
これは他の季節にはない、とても贅沢な時間。
ただお日さまに当たるだけで幸せになれるとき。
お日さまのありがたさを、地球に暮らす生き物として実感する時です。

この時季になにげなく撮った写真を見てみると、空も海も、抜けるように青なのです。
曇りの日に海に色がないことを思えば、この青もお日さまがあるからこそのブルー。
ウインターブルー、と名付けたくなる、深くて濃くて、吸い込まれるよう、そしてとにかく
透明な青さです。

お天気の良い日はどこを見ても青青青。

ヒナこ カミヤツデ
植物やネコを撮った写真なのですが、その向こうの空の色がすごいのです

透明な青の代表といえば地球です。
青色は地球の命の素、海や大気と、太陽の合作。

青を過ぎると闇となる。
海も光が届く深さはブルーですが、それを過ぎる深度となると漆黒の闇の世界、
また空を突き抜けて宇宙に出ると真っ暗です。

青の領域は太陽の光の領域。
やはり太陽のゆりかごの中にいると安心します。
毎日当たり前だと慣れてしまいますが、なんという、美しい星に暮らしているのかしら、
と思います。もっとも地球人だから空が青いのが美しいと思うだけで、火星人なら空は紅い
のが美しいと思うのかもしれませんけどね。

この青の中にははたくさんの命が満ちていている。ひとつたりとも、いらない命はない。
それをすべて抱えて回っている星。
その一部である、海や空の青さを冬中、身近に楽しめる海辺の地域に住まわせてもらえている
ことには、ただもう感謝しかありません。

残り少ない冬の煌めきの日々をいとおしく感じる、旧暦師走のこの頃。
お正月はもうすぐ、1月31日の新月が月の暦では元旦です。
もう一度のお正月を楽しみましょうね。

地球

文 写真 矢谷左知子

冬の日差しあそび

ガラス日差し

この時季、ガラスコップに入ったお茶に太陽があたると、実に摩訶不思議な光の魔法の図が現われます。
お茶の量や、置いている場所の違いなどで、その図柄は多様です。
これはかなり心奪われる出来事。おそらく天体の真理がこの中には読み取れるでしょう。
冬の太陽はほんとにたくさんの、完璧なプレゼントを届けてくれています。
試してみてくださいね。
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」でワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。(次回は2/11)

ブログ
草舟 on Earth
草虫こよみ
Follow me!