Brisagram! 海辺の草こよみ vol.10

雪の庭

ナルニア
うちはこんなでした


それにしてもよく降りましたね。
みなさんの所はいかがでしたか。

うちは少し高台にあるせいか、ほんとうにドカ雪。
もう笑うしかない、というほどの降りようで、この山の家はすっぽり雪に埋まりました。
寒いところに住んだことのない私には生まれて初めての積雪量。
少々の雪ならへっちゃらで、喜んで庭を駆け回るウチの猫さんも、今回ばかりは腰が引けていました。

庭は見事な雪原。
忽然と現われた、一様になめらかで段差のない景色、
なんだかやわらかく、温かみのある形に覆われています。

雪国の暮らしはとても厳しいのに、その民族芸能や、生活工芸に奥深いあたたかさがあるのは、
こうした自然の造型に囲まれているところからも来るのでしょうか。


雪ぼうし


そんな北国の方たちには恥ずかしいほど、わたしたちは軟弱で、
翌日には太陽が雪を溶かしてくれることに安堵するのです。

でも今回の量といったら!
ほっといたらいつまでも残るだろう、というほどです。
さっそく、庭のテラスの発掘、畑の発掘にとりかかります。


びびりひな
屋根からドサっと落ちる雪にびびる白猫さん。テラスを発掘。。

畑
畑を発掘中。


植物たちの力はなんと高度なのでしょう。
丸一日雪のなかに埋もれていても、その下で元気に生きていて、植物があるところから、溶けていきます。
熱やエネルギーを発しているのです。
人はなだれの中では生きていけないのに。
こういう時にはあらためて、自然界の高性能さに驚きます。

森を歩くと、きのうの吹雪のなか、どう過ごしていたのか、リスや小鳥が元気よく飛び回っています。
こんなに小さい彼らも、身一つで荒れ狂う天候を乗り切るなんて、ほんとうに敬意を感じます。
先日庭に現われた、毛の抜けてハゲハゲのタヌキはどうしたでしょうか。
毛がなくて、この寒さは過ごせたのかしら。気がかりです。

山の上を散歩してみると、
ノウサギや小鳥、タヌキ、、雪原にちいさな足跡が無数にあります。


ウサギ足跡
椿


いつもは姿の見えない動物も、あちこちにいるのがよくわかる、
あっちから来て、こっちに行って、、行動も読み取れる、
雪はふだんはわからない情報を浮かび上がらせてくれますね。

一日かぎりのファンタジーのギフトは
この温暖な湘南のわたしたちにも、雪のあたたかみや、普段は忘れている自然界との境界や営みを、
気づかせ、繋ぎ直してくれるものでした。

しかし、雪かき・・!
身体の使い方を工夫しつつ、楽しみましょうね。

海雪

七草

ナズナ

2月7日は旧暦の七草でしたね。
新暦の七草には出揃わない七草も、このころにやっと出始めます。
「せりなずなごぎょうはこべらほとけのざすずなすずしろ、これぞ七草」
雪のなかでも元気よく伸びているナズナを発見。
それにしてもこの時季にこんなに成長しているなんて、
今年は暖かいのか、はたまた寒いのか、
よくわからない冬です。
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」でワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。

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