Brisagram! 海辺の草こよみ vol.19

庭のオーガニック・バンブーデッキ

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

ウッドデッキ

猫共々、大好きだった庭のウッドデッキが昨年秋から腐食のため、危険な状態になり、
だましだまし使っていましたが、ついに限界が来ていました。
借家でもあり、また、直す余裕もなく途方にくれていたのですが、
この春の始めに、近所の新しいともだちが、直してくれることとなりました。

とはいえ、大量の板の手配は、この家の立地から運びこむことも困難、経済的にもむずかしい。。。
どうするかねえ、と思案にくれていると、ともだちは、在るものでやろう、
と家の周囲に有り余る竹で造ることとなりました。
待ってました。ナイスアイデア!

もちろん、もうデッキなしで、土の上で、ということも考えましたが、
この家はほんとうにたくさんの人が集う場であり、それは庭の植物たちも楽しんでいるようで、
そこに、こうしたちょっとした浮いた場があるというのは、実によいかんじなのです。
そこでなにかが醸造されるような気もしていました。
ですから、やっぱりほしいなあ、と思っていたのです。

でも借家暮らし、いずれ出る時にはもとに戻すことを考えます。
いえ、借家にかぎらず、家というものはやがて土に戻る素材でつくるべきもの、と日頃から思っている身には、
今回の、塗料すら使わないバンブーデッキのアイデアは秀逸でした。

この冬の雪で、庭に隣接するヤブの竹たちはみな折れたり倒れたりしていて、
いまだに片づけができないでいます。
それほどにもつれあって共倒れの状況、
でもそれが使える。
すこしずつヤブの整理をしながら、よい竹をピックアップして、なんだか全体が整えられていく、清々しい作戦です。

解体
さら
八角形

ベースや、出入り口の縁台は孟宗竹でしっかりつくり、
メインの大きなデッキは、八角形のベースに篠竹をよしずのように編んで固定させるという工法を、
ともだちが考えてくれました。

この家に来てから3年、前の住人から引き継ぎ、ほんとうにお世話になったデッキもいよいよ解体です。
ほとんど腐っていましたが、使える部分を製材して、土台としてまた再利用。

作業
しばり

近所の友人たちに手伝ってもらいながら、
トップの竹をシュロ縄でよしず編みにします。
全員で一本一本縛りながら編み込んでいく様は、なにかとても基本の繋がりを表しているようにも思えました。
釘も使わず、植物の繊維で竹どうしを繋いでいく、この造り方は、
ここ、「草舟」の庭の先住のいきものたちにも喜ばれるように思います。

なによりも、「身の周りにあるもので済ませる」スタイルの私の日常の暮らし、制作信条に
なんとピッタリなんだろう、とこの新しいデッキと周囲の人々のありがたいサポートに
胸を熱く、そして気持をあらたにしている日々です。

写真ではまだ途中でわかりませんが、デッキは最終的に八角形となります。
出来上がりましたら、またアップいたしますね。
どうぞお楽しみに。

ヒナデッキ

新生、バンブーデッキに猫さんも大喜びです

文・写真 矢谷左知子
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」でワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。

5/5より「葉山芸術祭」で草講座をします。

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