Brisagram! 海辺の草こよみ vol.36

徒然に 冬の光の庭より

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。
海1

だいすきな冬の光、冬の青、ウインターブルーの季節です。

このところ毎日があまりに美しいので、家の周辺から出ずに、
庭で冬日のシャワーを浴びて恍惚となっています。

日々の庭から眼下の世界を見渡せば、
海の青にさざなみのように飛び交う渡り鳥や、
真っ白な冠雪をのせた真っ青な富士山、
神々しく眩い冬の日の光たち、、

毎朝、海に反射する太陽光で顔を洗います。

そうすると心までもが洗われるのです。

冬は心身をすっかり清めてくれる特別な季節のように思います。

清浄な大気や海光に、滞りが洗い流され、スッキリと軽やかになるのです。

渡り鳥

もうすぐ季節は節目の節分を迎え、2月4日は立春ですが、
旧のお正月は2月19日。
今年はとても遅いのです。
旧暦は月の暦なので一日(朔日)はかならず新月からはじまります。
2014年は旧暦のうるう年で9月が二回あったため、それ以降の日付はずれ込み、
今年は立春から2週間もあと、次の新月がお正月となります。
立春前後がお正月ということが多い中で、ここまで遅いのもなかなかない、
うれしい二度目のゆっくりしたお正月です。

ヒナ庭

冬至があけて、立春のころまでが、最高の冬日の時季だと感じています。
春がくるのはもちろんうれしいのですが、
このピキーンとクリアな光の世界がぼやけ始め、
輪郭が滲んでくる、やわらかい光に包まれ始めるころ、
あのいさぎよい、冬の光が終ることに、ちょっぴりの寂寥感を抱くのです。

それでもそれは始めのうちだけ、
春の光はまた素晴らしく、なにもかもが喜びに包まれていく・・

要するに、どの季節もすべてはすばらしい、ということですね。

ヒナ海
庭南

気掛かりは、野生のタヌキです。
冬になって庭には山のタヌキたちが群れで出没。
どの子も全員毛が抜けて、赤むけ。
モヒカンのように頭のてっぺんだけ、チョン、と毛がのっている子ばかり。

この寒空にお腹をすかせ、あたたかい毛はすべて失われ、ほんとうに哀れでなりません。
犬の疥癬から感染したとか、人間の残飯に含まれる商品添加物のせいとか、いろいろいわれています。

無事冬の寒さを乗り切ってほしいと願っています。

ともあれ、もうすぐ二度目のお正月。

新暦のお正月に心残りがあった人も、今回でまたリセットできるチャンスです。

私もまた心の掃除をして、カラッポで次なる年を始めたいと思います。

佳き一年をつくってきましょう。

ビオラカミヤツデ

文・写真 矢谷左知子
矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」で草のワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。

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