Brisagram! 海辺の草こよみ vol.37

早春のフロスト

季節の草に囲まれて草とともに暮らす草文化探求の矢谷左知子さんの湘南の自然の中での暮らしの一コマをお伝えします。

フロスト1

旧暦新年あけましておめでとうございます。
月の暦では今日2月19日は1月1日元日。

今回は年内立春。
立春は来たのに、まだ新年にはならず、旧年中に立春、という暦のめぐりでした。
2年に一度ほどはそのような巡り合わせになります。
今日からまた新しい年のはじまりです。

そう、立春が来て、きょうから雨水、
春はすぐそこです。
大寒の頃よりも立春過ぎのほうが、いちだんと張りつめたキーンとした空気に覆われるように思いますが、それでも日中の時間は確実に長くなり、春のような一日も増えてきました。
植物たちはもう待ちきれない、といった勢いでぐんぐん芽を出し、ツボミを膨らませていきます。

寒い日の朝、庭の草たちをのぞいてみましたら・・
こんなに寒くて、霜や雪をかぶっても、どうも、なんだかピカピカとうれしそうなのです。

よく見ると、マルや四角、いろんな形のフロストがついています。
フシギでかわいい。
その草たちの性格が見えるような気すらします。

フロスト2

フロスト3

フロスト4

草によって、いろいろなフロスト。
全体にまぶしたようなものや、輪郭だけふちどられたもの、
葉脈をよけてフロストをつけているもの。。
ひとつひとつその身を飾り、おしゃれしているようで見ていて飽きません。

その体温というか、命の脈の箇所から溶けて、
人でいえば、血流の悪いところにフロストが残っているのでしょうか。

それらも写真を撮っているうちにも、みるみる溶けて行き、わずかな時間のできごと・・

日々人が気がつかないところで、
気がつかない時間のなかで、
なんと美しい世界が展開しているのでしょう。

庭の様子が一日ごとに忙しく変わって行くのがこの頃。
うちにももう、あちこちにフキノトウが顔を出しています。

春は怒濤のごとく、轟々と激しく楽しくやってきます。
今日から二十四節気の雨水の時季、
わたしたちも季節のめぐりに合わせ、自然に即して動いていきましょう。

草の季節も始まります。

フキノトウ

文・写真 矢谷左知子

矢谷左知子 プロフィール

草文化探求 / 草の翻訳
身の周りの野生の草を主題に、草から繊維をとり糸にして布を織る「草の布」の制作を長年。近年は草をテーマに、染織はもとより食や癒、道具、暦などさまざまな草文化の探求とワークショップ、ナチュラルなグラフィックデザインの仕事などしています。
海辺の山の中の一軒家に住んで、人よりも草や小動物や星のほうが近い暮らし。海で泳ぐのが大好き。山をうろつくのも大好き、
いい年をしてスラックライン(ツナ渡り)も得意です。
時おり自宅「草舟 on Earth」で草のワークショップ
時々、逗子CINEMA AMIGOで「草ランチ」を出しています。
次回は3月14日にランチを担当します。

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