今度の休日は、ぶらり江の島散策へ(3/3)

 いよいよ三つ目の宮、奥津宮ではぜひ神門の天井に描かれた「八方睨みの亀」を探してください。睨みとありますが、どこか愛嬌があって憎めない表情がなんとも言えずキュートなのです。奥津宮の先は、普段海岸から眺める江の島の裏側。島の西南端となります。屏風のように連なる断崖の下に稚児ヶ淵と呼ばれる海食大地が広がり、ここは夕陽の名所としても知られます。晴れた日には富士山もよく見え、目の前に広がる絶景パノラマは、普段江の島ビーチから見る同じ江の島の景色とは思えません。島の一番奥には、江の島信仰発祥の地として崇められている岩屋と呼ばれる海食洞窟があるので、時間があればお立ちよりを。観光地、江の島の奥地にこんな洞窟があったとは、知らない人にはびっくりな奥の深い江の島です。
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江の島の奥から眺める伊豆半島。雲がなければ富士山もバッチリ!
 ざっと散策コースをたどって江の島を廻ってみましたが、島散策でぜひおすすめしたいのが、小道散策なのです。メインコースを一歩外れると、さっきまでの人の賑わいが嘘のようにひっそりと静かな風景に出会うので、わざと道を右へ左へと外して歩くのがいいのです。


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 ↑自分の一番気持ちのいい居場所を知っている島の猫たち
  ←喧噪から逃れて出会うフォトジェニックな江の島




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 島の北西部には緑の森の影があちらこちらに垣間見え、東側には集落へと通じる細い路地が迷路のように入む。時々リラックスしきった島の猫と目が合ったり、窓越しに静かに生活を営む島の人の姿が映ったり。そこには観光地江の島でない、素のままの江の島の風景があるのです。

 そんな小道散策の一休みには、カフェーマルへ。扉の真鍮の取手を一ひねりすると、アンティークであつらえられた小さな秘密の空間が現れます。気分はさしずめ不思議の国のアリスといったところ。古い年代物の小物たちに囲まれ、古時計が時を刻む音を聞いていると、知らないうちに気づけば日付も年代も超えた遠い場所へ運ばれてしまっていたとしても頷ける感じ。そして、この夏カフェーマルのお隣にオープンしたばかりのギャラリーGIGIの存在もお忘れなく。すべてオーナーの手作りだという小さなスペースは、白を貴重にセンスよく配された手作りのオーナメントでコーディネイトされ、ギリシャや南イタリアの島の小さなお家を思わせます。芸大のアーティストたちの作品や、オーナーの奥さんセレクトのカラフルな雑貨は見ているだけでも幸せ気分。どちらも、ここが本当に江の島?と思わずにはいれらない小旅行的空間。ひとりでぷらりと立ち寄りたくなるお店です。
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懐かしの味のクリームソーダがぴったりな雰囲気のカフェーマル
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gigiのネーミングは飼い猫の名前から。もちろん「魔女の宅急便」のgigiそっくり!
garb せっかく江の島まで来たので、ついでにちょっと寄り道コースもご紹介しましょう。注目は、134号沿いにこの夏オープンしたばかりのザ・ビーチハウス。1階にワイキキの人気パンケーキ屋Eggs’n Thing、2、3階にはお洒落なカフェレストランGARBが入る、開放的な空気が魅力のスペースです。GARBの屋上ではBBQも楽しめるので、江の島散策の帰りに海を見ながらBBQという贅沢もできちゃいます。また、片瀬海岸側の橋のたもとにある海鮮料理が美味しい江ノ島小屋の2Fには片瀬ボートハウスという素敵なバーもオープン。こちらはお天気の日限定の営業ですが、ちょっと大人の雰囲気のバー。江の島と相模湾を眺めながらゆっくりとした時間を過ごすことができますよ。おひとりさまにもおすすめです。
 夏休みも終わりですが、まだまだ海が楽しい季節です。夏を追いかけて、または初秋の気配を探しに、たまには江の島散策に出かけてみませんか? 友達や恋人、家族と一緒も楽しいけれど、何の予定も立てずひとりでふらりと出かけるのもなかなか贅沢な時間の過ごし方。きっと、ちょっと素敵な江の島が待っているはず。
文・写真 小林繭
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