湘南PEOPLE VOL.28 TAMAOさん

ヨガインストラクターとして国内外で活躍するだけでなく、SUPやサーフィン、トライアスロンなど、海に関連したアウトドアフィットネスにも造詣が深いTAMAOさん。

現在は材木座テラス内「gypsea by Honey」にてプロデューサー兼ヨガインストラクターとして定期的にクラスを持つほか、宮崎やバリなど国内外さまざまな場所でヨガやSUPなどのイベントを開催。海と自然を心から愛し、ナチュラルでヘルスコンシャスなTAMAOさんのライフスタイルは、女性を中心に多くの人々に注目されています。

明るくポジティブなイメージのTAMAOさんですが、実はヨガとの出逢いは衝撃的な経験がきっかけだったそうです。

「自分を信じること」を教えてくれたヨガ

美しく健康的な外見と、周囲の人たちをも明るい気持ちにしてしまう朗らかな人柄で、多くの人たちから慕われ続けるTAMAOさんですが、その華々しい活躍の原点は、過去の辛い経験があったからだとTAMAOさんは振り返ります。

TAMAOさんは体育大学を卒業した後、インターンシップのためカナダへ行き、現地では小学校の先生として1年過ごされたそうです。ところがインターンシップが終了した頃、バンクーバーで生死を彷徨う交通事故に遭い、しばらく半身不随の生活を余儀なくされました。

「事故に遭ってからしばらくは絶望的な状況が続きました。体育大出身でしたからスポーツばかりの人生。自分の身体は、自由に動くのが当たり前だと思っていました。ですから、歩くことができなくなったことが本当に辛くて。そんな矢先、お世話になっていたドクターから、妻がインド人のヨガインストラクターだから一度会ってみないかとご紹介いただいたんです。その出会いが私にとっては運命的なものになりました。

ドクターの奥さまからヨガを通して教わったことは、とにかく自分自身を信じなさい。信じるのは自分だけなんだという、まさに当時の私にとっては希望の言葉でした」

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ヨガと出合ったTAMAOさんの身体は劇的に回復し、やがて歩くこともできるようになったそうです。その後、自分を救ってくれたヨガについてもっと知りたいと思い、インドへと旅立ちました。

「3ヶ月インドで過ごしました。ヨガのハウツー的なことよりも、ヨガの本質的なスピリットの部分について深く知りたいと思いました。何よりインドを感じてみたいと思ったんです。インドでは、自分を信じることの大切さはもちろん、自分らしく、自分が一番心地よい状態で生きていくことが、周りの人にとっても心地よいことなんだということなど、多くの気付きを得ました。これからの人生は、好きな人と好きな場所で好きなことをしようと。心が解放されたんですね(笑)。私がイキイキと人生を楽しんでいる様子を発信することで、誰かの心にも明かりを灯したいと思いました」

インドから帰国したTAMAOさんは、さらなる理想を追い求め、世界中を巡る旅へ。そして帰国後、自分の一番好きなこと、つまり自然と関わりながら心と身体を整えてゆくヨガを中心としたインストラクターとして活動をスタートしました。
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“Go with the flow”

「学生の頃から色んな仕事をしてきましたが、どれもすごく楽しかったですね。仕事することで、生きている実感も得られました。インストラクターという今の仕事は、相手が喜んでくれ、それがダイレクトにかえってくるやり甲斐のある仕事です。反面、ものすごく狭い世界での仕事なので、過去に経験してきた色々なものが今、活かされていると思います。私の座右の銘は“Go with the flow”。これまでも自分らしく好きなことをやってきたから後悔はゼロ。これからもっとやれることが増えると思うとワクワクします」

TAMAOさんのレッスンは、人や自然とのコミュニケーションをとても大切にしているという印象を受けます。しかもそれは人と人、人と自然だけでなく、自分と自分の心のつながりも含めたコミュニケーション。その理由は、TAMAOさん自身がコミュニケーションを非常に重んじているからではないでしょうか。

「やはり両親の影響が大きいと思います。両親共に航空関係の仕事をしていて、母は仕事柄、人とのコミュニケーションのプロでした。父は仕事から離れるとトライアスロンをしたり、海へ行ったりと、自然のなかに身を置くことを大切にするアクティブな人でした。家族も仲が良く、夏休みはキャンプをしたり、常にスキンシップを大切にする。そんな家庭環境も今の私を形成する大きな要因かもしれません。自然の中にいると心が開いていくのがわかりますよね。同じように、ヨガにもそのパワーがあると思うんです」

もともと身体を使って何かを伝えるのが得意で、人を喜ばせたり、元気にさせることが喜びだったというTAMAOさんは、今の仕事は天職だと言います。身近な人がどんどんハッピーになっていく、そういう関係性が好きなのだとか。

「自分の世界は無限大です。私が色々なものにチャレンジするのは、誰よりも自分が楽しんでないと人に伝えられないからなんです」
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目の前にいる人と笑っている瞬間が幸せ

これだけアクティブに活動するTAMAOさんですが、湘南に暮らすようになり心の変化を感じたそうです。

「心のスピードがゆっくりになり、何でも受け入れられるようになりましたね、自然のなかにいると、悩みが吹き飛んじゃうんですよね。良いエネルギーを持った人がたくさんいますから、自分も満たされるというか、良いエネルギーが伝染していく感じです。あとは、朝の過ごし方が変わりました。海の近くに住んでいると、朝一番に朝日を浴びながら海に入ろうとか、走ろうとか、そういう気持ちになるんで
す。環境によって人は変わりますし、気持ちも前向きになるんだなと実感しました」

自分のライフスタイルを大切にするため、食べるものや睡眠にもこだわり、さらには人とのつながりや関係性にも気をつけているのだとか。

「食べ物はその人の生活まで変える力があると思うんです。ただし大切なのはバランスですから、こだわりすぎません。美味しいと思えば、それが良いエネルギーに変わりますし。同じように睡眠はすごく重要。夜のお誘いは吟味して、必要のないものには行かないように心がけています。さらには、人との関係や友だちの距離感も私にとってはすごく大事。友だちは少なくて良いと思っています。ただし本当に大切な人を濃厚に愛したい。一番苦しいときにそばにいてあげたいと」

そんなTAMAOさんが幸せだと感じるときはいつなのでしょう。

「一番幸せを感じるのは、目の前にいる人と笑っている瞬間ですね。ヨガをするようになって一番変わったのは、すごくリアルに本質を見るようになったことです。自分にとって本当に必要なもの、時間を厳選すること、大切なことを見極めるようになりました。どこにプライオリティを置けば良いのかと考えた時、私にとってはお金じゃなくて時間が宝だと気付いたんです。笑顔で成長できる時間、それが一番の宝です」
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目指すはwater woman!

「沈んだら、すぐに起き上がる。昔から根拠のない自信がある」というTAMAOさんのエネルギーの源は、一体どこにあるのでしょう。また、今後どんなライフプランを思い描いていらっしゃるのでしょうか。

「根拠のある積み重ねでしょうか(笑)。あとは愛かな。今、旅をしながら仕事をするこのスタイルがとても心地よくて、有り難いことにどんどんオファーもいただいています。バリでは、年に2、3回ヨガのリトリートを開催していますし、琵琶湖ではSUPのキッズキャンプを開催したり。けれどもこれは一朝一夕でできたわけではなくて、世界中にいる仲間のところへまずは遊びに行って、その土地を好きになることからはじめるます。そして通い詰め、ローカルの人たちと交流し、ボランティアでヨガをして・・・という具合に徐々に関係性を築いていくんです。謙虚な気持ちをなくしてしまうと、関係性がうまくいかなくなると思うんです。人との関係性がすべてですから」

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「海は楽しい分、危険な場所である。だからトレーニングが必要」そう話すTAMAOさんの理想の姿は”water woman”。サーファーでもヨギーニでも、スタンドアップパドラーでもなく、海にいてなんでもできる人、つまり“water woman”が目指すところなのだとか。

「海はわたしのすべてであり、常にインスパイアしてくれる場所。そんな海に誰よりも長く、安全でいるために、私がしていることはすべてつながっているんです。でも真のwater womanになるには、一生かかりそうです...」

誰よりも海のことを知り、海を愛しているからこそ発せられる言葉のひとつひとつから、TAMAOさんの謙虚で愛に溢れた人柄が伝わってきました。

心地よく、心も身体も解放されてゆくようなTAMAOさんのヨガレッスンやSUPレッスン。ぜひ一度トライしてみてはいかがでしょうか。

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撮影/志津野 雷
取材・文/富岡 麻美
コーディネート/森 幸映
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