湘南PEOPLE Vol. 32 クリス智子さん

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ラジオパーソナリティ、タレントとして多方面で活躍するクリス智子さん。爽やかさと落ち着きを併せ持った心地良い語り口調は、聞く人の心を穏やかで軽やかなものにしてくれます。5年ほど前、都内から湘南エリアへと移住し、現在は自然豊かな稲村ケ崎にご家族で暮らしています。

インテリア好きのクリスさんのこだわりが随所に感じられるご自宅は、シンプルで洗練されているのに温かみが感じられ、クリスさんのお人柄が伝わってくるよう。そんな居心地の良いご自宅のリビングで、暮らしやお仕事についてお話を伺いました。

5年ほど前に都内から湘南エリアへ移住されたということですが、何かきっかけがあったのでしょうか。


そもそものきっかけは親しい友人が秋谷へ引っ越したことです。その友人宅へ遊びに行った際、子どもを育てるには自然豊かな湘南エリアも良いなあと感じました。私は横浜で育ったので、このエリアへは学生時代によく遊びに来ていたんです。ですから、馴染みがあったということも要因のひとつですね。
移住することについても、住んでみて違ったと思えば、また引っ越せば良いしという気軽な気持ちでした。どんなことでもやってみないとわからないですから。幸い、夫もこちらでの暮らしを気に入ってくれ、毎日都内まで通勤しています。

ご夫婦で都内に通勤されているということで、大変なこともあると思いますが、実際に暮らしてみていかがですか。

最初に住んだのは逗子でした。通勤が大変かなと思いましたが、実際にやってみると問題なかったですし、意外と向いてるなと思いました。湘南に暮らす=地域重点型も一つの選択肢かもしれませんが、これまでの仕事に対する愛情や責任感、さらに仕事仲間と未来に培いたいもののイメージも途切れずに持ってやってきていて、幸い、そういう思いを大事にできています。また移動時間は「個」の時間でもあるので考え事をしたり、じっくりものを書いたりするのには最適。今は子どもがいるので「早く帰らなくちゃ」とか、気持ちの面での焦りは時々感じたりしますが、私にとっては仕事も子育ても、自分が向き合う大事なことなので、オンオフの切り替えの必要性は、あまり感じていません。

1年半前に稲村へ越してきましたが、ここでの暮らしはとても心地良いんです。住んでいる人たちも素敵ですし、皆、仲も良い。お店の人や近所の人たちとの顔が見える感じがちょうど良くて。稲村に住んだことで、近くの人たちとワイワイ食事をする楽しさなど、地域のつながりの大切さを感じられますし、“帰る場所”という感覚をしっかり持てるところが魅力なんだなと思います。

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自然に感じられることをまずは受け入れてみて、自分の形に作りなおしていく

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忙しい毎日をお過ごしだと思いますが、そんななか、日々大切にしていることやこだわりについて教えていただけますか。

やはり家に帰ってきたらパソコンを広げて仕事をするというよりは、子どもといるならば一緒に遊びたいですし、しっかりと向き合いながら過ごしたいと思っています。そういう意味でも、先ほどの移動というのは貴重な時間になっていますね。

気持ち的には、常に開いている状況を保つためにどうしたら良いのか、ということを考えています。仕事柄、色んな人に会ってお話を伺うことや、吸収しなければならないこともあります。時には、ちょっと難しいかなと思うこともありますが、できないことを先に考えるのではなく、まずは自分でやってみて確認することを大事にしています。それは、子供にも伝わる一つの姿勢だと信じています。

モノでも情報でも、なんでもかんでも置いておこうとか、知らないとまずいかなとか、仕事上はある程度ありますが、ただ敏感になるところと、鈍感になるところは、しっかりと自分のなかでバランスをとるべきだなと思っています。
何かを読んだり考えてみて、自分のなかからどういう言葉が出るのかということを大切にしています。時間はかかりますが、そこは腹をくくってやろうかなと思っている部分です。

一方で、自分はこれがいいんだなとか、自然に感じられることをまずは受け入れてみて、自分の形に作りなおしていく。その作業は、結局は仕事においても環境においても人間がしていることだと思うんです。

まずは、実際に自分で感じたり、体験してみるということですね。

そういうことで時間が埋まっていかないと、自分の時間じゃない気がするんです。自分がやってみると、質問や捉え方が変わってきますよね。自分でしかわからないことはありますし、やってみて「違うな」と思ったても、次は必ず良い方向へ向かうきっかけはできます。それをやらないと、いつまで経っても確信できるものが得られないんじゃないかなと思います。自分がいいと思うことを共有することも大切かもしれませんが、狭い世界になりがちなこともあるので、違うモノとどう対峙し、どう会話できるのか。そのためには、近いところだけではなく、何か、かけ離れたものとの接触、体験は、非常に大事だと思います。

そういうことって子育てにおいても活かされていたりするのでしょうか。

そうですね。人生、楽しむことが大前提で、我が家は、まずは一度、家族で、前向きに捉えてみる。後悔するなら後からで十分。あとは「こうしなさい」ということはあまり言わないようにしています。子どもってものすごく面白い発想をするじゃないですか。そういうのを見ていると、こちらが色んな発見がありますから。親だから、子供だから、という発想は、あまり持っていません。子どもとは、朝から、一緒に絵を描いたり、ご飯を作ったり、踊ったり。ただ、本気で一緒に時間を楽しもうと思っています。そして、子供より早くダウンしないように心がけています(笑)。仕事でも多くのゲストの方をお迎えしますが、子供は、わたしの人生において、最高のゲストです。

身体の巡りを大切に

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お仕事柄、健康管理が重要だと思いますが、何か特別に気をつけていることはありますか。

身体は丈夫な方らしく、特別な健康管理はしていませんが、“巡り”は大切にしています。そのうえで、どうしたら自分の身体が十分に巡った状態でいるのか、ということは自分でわかっているので、その辺りは意識していますね。でも基本的には、一日の終わりに、美味しいもの食べて、美味しいお酒飲んで.. に尽きる気はしています。

普段は、ご家族でどんな休日を過ごされていますか。


公園や海に行ったり、ご近所さんとご飯の週末も多いです。冬場は薪割りをしたり…。子どもも自分が関わると自信につながりますから、生活のなかでできるだけそういうことを見せ、体験させようと思っています。何か教わってやるのではなくて、自然といつの間にかできていると良いですよね。
子どもってやれば意外とできちゃう。例えば、我が家はインターナショナルスクールへ通っているので、英語と日本語で家庭ではどうなんですか?と聞かれることがありますが、実は子どもって本当はもっともっとこちらが思う以上の吸収力があると思うんです。何カ国語も同時に学べるはずで、ただ環境や機会がないだけ。逆に「これはできないかなのではないか」と思うのは子供に失礼かなとは思います。

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自然と自分が、静かに会話できる時間を持てる場所

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クリスさんにとっての「お気に入りの場所」はありますか。

やっぱり海かなあ…。仕事が終って、波の音が聴こえる場所に帰ってくるというだけで元気になります。場所というよりも、私にとっては「音」かもしれません。色んな音が無作為にあるのではなく、そこにあるべき音があるというか。場と音の調和がとれていると癒されます。自然と自分が、静かに会話できる時間を持てる場所、なんだと思います。

アンティーク家具がお好きだということですが、小さい頃からインテリアに興味があったのですか。


はじめて自分の部屋ができたときに、最初に部屋の壁に飾ったのが、ポップコーンをつくるフライパンだったんです(笑)。それは中学生の頃だったと思います。幼い頃から引っ越しも多かったので、自分の場所を作るということにある意味、執着心があるのかもしれないです。そこさえ作っておけば、外が色々と変化したとしても大丈夫みたいな。スピーディに自分の空間を作るというコツみたいなものを小さい頃に身に付けたんだと思います。アメリカの親戚はアンティーク業をやっているので、そういう環境が当たり前にあったということも影響していると思います。

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躍動感のある時間を作りたい

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仕事をする上で大切にしていることや、今後はどんな仕事をしていきたいとお考えですか。

今担当している番組は、自由度も大切にしています。そもそも、ラジオは人間らしさが出るメディア。ですから決まりきったQ&Aではなく、人の発する言葉などをライブでキャッチし、躍動感のある時間を作りたいと思っています。20年以上この仕事をやっているので、瞬発力とか、そういう筋肉は鍛えられていると思いますし、それをどう活かすかということも自分のなかである程度イメージできていす。人がどういう時間を求めているのかということにも意識を向けながら番組を作っています。
ラジオは空間のなかに存在しえるもの。邪魔にはなりたくないけれども、「ああ、あって良かったな」とか「こういう話しが聞けて良かったな」とか、ふと思ってもらえたら幸いで、そういう些細なことを大切にしたいと思います。ここではないどこかへ、意識を馳せることは、日常において、案外、大切なものだと思っています。

小さい頃から「違う」ということを、どうしたらすんなり受け入れられるのか、どうしたら伝わるのかと考えてきました。言葉でただ言っても伝わりにくいのですが、ラジオって毎日あることなので、自分自身の、様々な人との関係性や会話から、じわじわとそれを伝えることができたら良いなと思っています。
今、ラジオが世界中どこでも聞けるようになって、ラジオの在り方や関わり方が変わってきたと思うんですが、その辺りはどうお考えですか。

見えないものこそ大事だと昔から言われていますが、ラジオはまさに、そこを感じられるものなので、あらためて、この時代に味わい深いメディアだと思っています。見えないことはマイナスどころか、プラスになることが多いと、ラジオに携わりながら実際に感じることが多いですし、リスナーに余白を渡せるのもラジオ。気軽なようで、やってみると、日々続けないとわからないこともたくさんあり、個々を尊重しながら共有もできる、ラジオならではのことを、これからも見つけてやっていけたらと思っています。

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photo:yumi saito
interview&text:asami tomioka
coordination:yukie mori

クリス智子

J-WAVE 午後の帯番組(月曜- 木曜 13:00-16:30)”GOOD NEIGHBORS” ナビゲーター。
幼少期より、ハワイ、京都、フィラデルフィア、宮崎、横浜、東京と移り住みながら、現在は、鎌倉在住。ラジオのパーソナリティのほか、TVのMC、CMナレーション、トークゲスト、音楽、朗読、作詞や執筆活動を行う。幼少期より触れてきたアンティークから、最先端のデザインまで興味をもち、生活そのもの、居心地のいい空間にこだわりを持つ。
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chris tomoko
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