美味しいがあたりまえ! 個性豊かな湘南コーヒー事情

スペシャリティコーヒーの魅力についてもっと知りたい!

最近、湘南のコーヒー事情が美味しいことになってきています。というのも、ここ数年で急に耳にするようになった“スペシャリティコーヒー”を扱うお店がけっこうな勢いで増えているのです。スペシャリティコーヒーとは、日本スペシャリティコーヒー協会の定義によると、“カップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること”とのこと。こんな日本語の説明だとちょっと難しく感じますが、ようは“本当に美味しいコーヒー”ってことの理解でよいような気がします。ということで、湘南の気になる本当に美味しいコーヒーのお店をいくつか訪ねてみました。

THE FIVE BEANS

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葉山の御用邸がある交差点の角に、ちょこんと佇むTHE FIVE BEANSはスペシャリティコーヒーの自家焙煎店。扉を開けると、2坪ほどのスペースの店内にはカウンターのみで、10種類ほどのコーヒーが書かれたメニューボードが並びます。ここでは豆売りがメインですが立ち飲みも可能。一杯300円から。

一色海岸を散歩がてら、コーヒーを買いにくるお客さんが多いのだとか。カップがないお客さんにはタンブラーを貸し出し、飲み終わったら返却すればいのだそう。

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「だって、自分のお店のロゴが入ったプラスチックカップがビーチに落ちていたりしたら嫌じゃないですか」と言う店長の森嵜さんは、もちろんサーファーでもあります。葉山出身の森嵜さんがお店をオープンして今年で11年目。もともとコーヒー屋を目指していたわけではないけれど、いつかは地元で仕事がしたいという気持ちと様々なタイミングが重なりコーヒー屋を営むことに。

THE FIVE BEANSでは世界中から厳選された素晴らしい農園の豆が揃い、特にコスタリカのコーヒーには思い入れが。コスタリカといえば、サーファーにとってはいい波が立つ地としても知られるところ。メニューボードを眺めると、他にもスマトラ、エルサルバドル、ニカラグアと、サーフトリップに最高な国の名前が並びます。扱うコーヒー豆のセレクトは自分が行きたい国の豆だったりもします、とこっそり打ち明けてくれました。

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奥様の周(めぐる)さんと一緒にふたりの子どもを連れて、コーヒーの勉強のためコーヒー農園を訪ねながらコスタリカを旅したという森嵜さん。

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「家族経営規模の小さな農園がほとんどで、認証がなくても有機栽培で多種多様な動植物が共存している感じでした。」と、コスタリカコーヒーの魅力について話してくれました。そのコーヒーがどんな環境で、どんな人々によって栽培されているかを知ることができるのは、実際に行って自分の目でコーヒー農園を見て来ているから。資料に書かれた言葉や人の話からだけでは読み取れない、本当の姿を求めて、コーヒーを作っている国をコーヒー+αを発見しに訪ねるのが目標だとか。

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美味しいコーヒーとの出会いは、いい波との出会い、そしてナイスな人々との出会いを繋いでくれることなのかもしれません。森嵜ファミリーのコーヒーを巡る旅もまだまだ始まったばかりです。

THE FIVE BEANS
三浦郡葉山町一色2037
046-876-1269
営業時間:11:00〜17:00  毎週火曜、第二・三水曜休み
THE FIVE BEANS 
*お豆の購入時はポイントカードや保存容器持参で増量サービスもあります!


THE GOOD GOODIES

鎌倉、御成通りから一歩入った小径にあるTHE GOOD GOODIES。オープンからまもなく1年のこのコーヒースタンドは、界隈では珍しく、朝7時からオープンしている実に貴重な存在です。

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時間がなくても美味しい朝のコーヒーが飲みたい!という鎌倉っこの欲求に応えるべく、7時〜9時までの間はセルフサービスでののグッドモーニングコーヒーを提供。Sサイズ100円、Rサイズ200円、Lサイズ300円というリトルプライスで手軽に美味しいコーヒーがいただける心強いお店です。マフィンやクッキーなどアメリカンなスイーツメニューや、街で人気のKIBIYAベーカリーのパンも取り扱っているので、コーヒーと一緒に軽い朝食として利用する人も多いそう(※スイーツやパンは、前日の製造状況によってはない場合もあります)。

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もちろん、朝からハンドドリップで丁寧に淹れたコーヒーが飲みたいという人にはハンドドリップコーヒーを。オープンからクローズまで、仕事の合間や打合せに利用する人、買い物の途中にふらりと立ち寄る人、そして仕事が終わってほっと一息の時間を過ごす人々の姿で賑わうお店です。

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コーヒーのメニューは、常時オリジナルブレンド+4種類ほどが揃い、季節に合わせて1〜2ヶ月ごとに豆の種類が変わります。コーヒーを担当する内野さんとケーキを担当する立道さんの二人三脚で始まったTHE GOOD GOODIESの棚には、立道さんセレクトのジュースやコーヒーシロップといったコーヒー以外の商品も並び、コーヒーを淹れてもらっている間にこれらの商品をチェックする楽しみも。

カウンターには、さり気なくPCや電話の充電ができるよう電源コンセントが設置され、ミニマムでありながらマキシマム。内装からサービスに至るまで、実にニーズをよく組みこんだデザイン設計には、隅々まで気配りがいきわたり、お二人のセンスのよさにさすが!と頷かないではいられません。

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「美味しいもの、よいものをカジュアルに提供できる場所であること。そして、何より大切にしたいのは人が集まってくれる空間であることですね」と話す内野さんの言葉どおり、カウンターだけのTHE GOOD GOODIESの空間は、単なるコーヒースタンドを超えて、人と人とを繋ぐ鎌倉の居心地のよい店として着実に鎌倉の地に根付いているようです。

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カウンターの足下に置かれたポップなイラストのレシピ本には「THE GOOD GOODIES」のタイトルが。店名の由来となった本のように、オーガニックでジャンキーな美味しい空間を目指す鎌倉のコーヒースタンド。鎌倉っこになったつもりでTHE GOOD GOODIESから鎌倉の朝を始めてみたくなりました。

THE GOOD GOODIES
鎌倉市御成町10-1
0467-33-5685
営業時間 7:00〜19:00 毎週水曜、最終火曜休み
THE GOOD GOODIES

I don’t know coffee roaster

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茅ヶ崎、鉄砲通りと一中通りの交差点からほど近く。一目で目を惹く黄色い看板に渋い顔したおじさんがコーヒーカップを口に運ぶイラストが描かれ、吹き出しには「Do u know coffee?」と問いかけるお店があります。一瞥しただけではわからないかもしれませんが、イラストの下には小文字で小さくi don’t know coffee roasterの一文。思わずうーーーんと唸りたくなるそのセンスに只者ではない何かを感じる人も少なくないはず。

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i don’t know coffee roasterは、湘南界隈では有名なスペシャリティコーヒー店。その堂々としたおじさんの佇まいからして古株のお店かと思いきや、この夏でオープンからちょうどまる4年。といいつつも、茅ヶ崎では美味しいコーヒー屋さんとしてすっかりお馴染みの存在です。オーナーである吉田さんの毎日は、波があれば朝は海でサーフィン、昼からはお店で焙煎作業、そして日暮れと共に店はクローズというなんとも自然のリズムと一致した湘南らしい日々。もともと日本のエスプレッソの先駆けとなったコーヒー専門メーカーへ勤め、様々な角度からコーヒービジネスに携わった後独立。以前からサーフィンで訪れていた湘南エリアにお店をオープンする運びとなった時に選んだのが茅ヶ崎だったのだとか。

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店頭に並ぶコーヒーは常備13〜14種類。一杯350円でテイクアウトが可能なので、犬の散歩がてらコーヒーを買いにくるような人が多いそう。

「美味しいのは当たり前なんで、常に消費者にとってリアルな存在でありたい」というオーナー吉田さんの言葉には、お客さんにとって、他のどの店でもなくこの店でなくてはダメだと思われる存在でありたいという強い信念が表れています。
「チャンスは一度しかないんです。美味しいコーヒーと思ってもらうためには、最初の一杯が勝負です」 
この言葉がズシンと胸に響きました。店名i don’t know coffee roasterをカタカナ読みにすると「イチドノコーヒー」。語呂合わせのような遊びにも吉田さんのコーヒーに対する熱き想いがしっかり籠められています。

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そんな愛情溢れるロースターの噂を聞きつけてか、i don’t know coffee roasterには全国から美味しいコーヒーについて学びたいという人がやって来ます。豆の扱いから焙煎、そしてコーヒーの淹れ方まで、一対一のトレーニングで対応してもらえるそうなので、興味がある人はトライしてみては。

吉田さんの焙煎するコーヒーが飲みたくて、今日もここのコーヒーじゃなくちゃ!と心に決めたお客さんたちが訪れるi don’t know coffee roaster。買い物に立ち寄った人々がみな笑顔であることが印象に残りました。

i don't know coffee roaster
神奈川県茅ケ崎市東海岸南5-1-5-D
TEL:0467-26-0487
営業時間:昼〜日没まで 火曜休み
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取材・写真 小林繭

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