鎌倉のこの場所で、コーヒーを淹れ続けること

一年中、多くの観光客で賑わう鎌倉の小町通り。その喧噪を抜け、ほっと一息ついたあたり。いつも変わらぬ居心地の良さを提供してくれるのが「cafe vivement dimanche」(以下、ディモンシュ)です。
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一杯一杯、丁寧に淹れられるとびきり美味しいコーヒーと、カリッとした程よい甘さのワッフル。これさえあればいつでもご機嫌でいられる、そんな鉄板コンビです。
11時から19時の閉店まで、ハンドドリップコーヒーが楽しめるディモンシュ。オーナーである堀内隆志さんのコーヒーを淹れる姿は、あるひとつの儀式(それはまるで禅のよう)のような神聖さを感じます。
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“カフェ”という場の、そこはかとない広がり

ディモンシュがオープンしたのは1994年。当時の日本に“カフェ”という概念はまだ広まっておらず、すべて“喫茶店”という括りにされていた時代。その後到来するカフェブームの火付け役として、さらには牽引役として、カフェという“場”の多様性をリアルに教示し続けてくれるカフェと言っても過言ではないでしょう。
そしてオープンから23年経った今年2月、店内の一部をリニューアルし新たなスタートを切りました。

「リニューアルしようと思ったのは、この場所でずっとやっていくということの決意表明でもあります。50近くになった自分が立っていても良いようなお店にしたくて。以前からお付き合いしていたAtelier23の井手しのぶさんに、全面的にお任せしました。壁や天井の色を変え、木の良さが伝わるような内装にしてもらいましたが、居心地の良い空間になったのかさらに長居してくださるお客さんが増えましたね。笑」
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毎日コーヒーを飲みにくる地元の人、ひとりでふらりと訪れる人、ガイドブック片手にやってくるカフェ好きの若者など、年齢層も職業も楽しみ方もさまざま。そんな自由さが、カフェという“場”のそこはかとない広がりを感じさせるのです。

自家焙煎のコーヒーを、常時16種も楽しめる

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はじめてディモンシュを訪れるならば、ぜひともハンドドリップコーヒーのオーダーをおすすめします。
マスターこと堀内さんによるハンドドリップコーヒーは格別。豆それぞれの個性を活かした芳醇な味わいは、感動すら覚えます。

「お店に対する意識は、3.11(東日本大震災)がきっかけで大きく変わりました。それまでわりと色々なことをしてお店を留守にすることが多かったのですが、自分の仕事は何かと問うたとき、僕は喫茶店のマスターになりたかったんだと気づいたんです。そのとき、僕がいる場所はここ(お店)だと決めました。それ以降、できる限り毎日お店に立ち、コーヒーを淹れています。焙煎もしているので忙しくて大変ですが、必要としてくれる人がいるので充実しています」
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現在、提供しているコーヒーは16種類。この季節、ホットならば少し酸味のある軽い味わいのブラジル「エスピットサント」がおすすめだそう。朝8時から11時までの“朝ディモンシュ”限定メニュー「ウォータードリップアイスコーヒー」も人気だとか。
コクのあるコーヒーと、濃厚なミルクのコンビネーションがベストマッチのカフェオレも絶品!
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コーヒーゼリー、コーヒーのグラニテ(シャーベット)そしてコーヒーアイスが詰った「パフェ・ディモンシュ」は、ビターな味わいが大人にも嬉しいパフェ。これからの季節にはたまりません。
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カリッとした食感と、さっぱりとしたあと味が女性やお子さんたちに人気の「ゴーフル(ワッフル)」は、アイスやメープルシロップとともに。そのゴーフルに、たっぷりのお野菜とハム、ポーチドエッグがサンドされた「ゴーフル・サレ」は、軽めのお食事としても楽しめます。

またディモンシュの定番と言えば!ふわふわの半熟卵が食欲をかき立てる、特製のオムライス「オムレット・オ・リ」。子どもさんからお年寄りまで、みんなが大好きなメニューです。

毎日を大切に・・・

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ほぼ毎日お店に立ち、一杯一杯コーヒーを淹れるということは、きっと想像する以上に大変なことだと思います。
さらに2010年からはじめた焙煎は、深夜から朝方にかけての作業だとか。
いつ寝ているのですか?という問いに、「朝方ですね・・・」と笑いながらおっしゃった堀内さん。

「そもそもコーヒーの焙煎をはじめたきっかけというのが、それまで焙煎をお願いしていた方の体調が悪くなり、やむを得ずという感じでした。けれどもやりはじめると面白くて。もちろん生半可なことではないのですごく大変なのですが、焙煎することで味の表現が豊かになり、自分でできることの幅が広がったのも嬉しいですね」
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今後は、カフェでのイベントや音楽ライブなどもさらに増やしていく予定だとか。(イベントスケジュールはHPでチェックしてください)

「これからも毎日を大切に、一杯のコーヒーに心を込め、丁寧に淹れ続けたいですね」


大きな野望や目標を掲げるよりも、日々の仕事や、暮らしを丁寧に扱うことの方が、もしかしたら難しくて尊いことなのかもしれない、そんなことを堀内さんのお話を通して感じました。
変わらないことと、変わっていくこと。そのふたつのバランスを大切に、これからも“鎌倉のディモンシュ”は人びとのコミュニケーションの場としての役割を担っていくのでしょう。


取材・文/asami
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[cafe vivement dimanche(カフェヴィヴモンディモンシュ)]

住所:鎌倉市小町2-1-5桜井ビル1F
TEL:0467-23-9952
営業時間:8時-19時(8時-11時はセルフ形式)
定休日:第2,4水曜、毎週木曜

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