鎌倉くらすらいふ 第11回 山田あき子さんのClass Lifeな暮らし

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およそ40年前にフランス人のおばあさまをもつご主人の家に嫁がれ、ヨーロッパの香り漂う洒脱で質実剛健な暮らしを徹底的に学んで来られた山田あき子さん。自らクリスチャンでもある彼女の鎌倉のクリスマスは、どこよりも本物のクラシック。おもてなしの心と心地よい晴れの日の緊張感が伝わってきます。

和と洋が整然と共存する、鎌倉らしい空間づくり

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40年前には2、3軒しか邸宅がなかったという長谷界隈。山田さんが暮らす今の家は、その一番古いもののひとつ。静かな和室と洋室、ご自身で手入れされるという広いお庭も、和と洋の感覚が違和感なく一体となった美しい空間。時にはとんびもやってきて、じっとこちらを見ています。鎌倉の自然を感じながら過ごせるところにも、贅沢さが。

いたるところに家族の思い出が

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おじいさまは江戸時代に長崎からフランスのリヨンに留学。外交官になり、フランス人の奥様をめとったという方。「当時の日本人留学生はみなとても優秀で、フランス語を完璧にマスターしていたようです」と、山田さんは誇らしく語ってくださいました。
いたるところに家族の肖像や思い出の品があり、今もこの家と山田さんを守っておられます。分厚いご本のように見えるのは、バカラのコニャック・ケース。中にショットグラスを収納できるようになっているのです。

料理もお菓子も。おとうさま直伝のレシピを現代風にアレンジして

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おとうさまは横浜のホテルニューグランドの初代シェフたちと親交があり、直筆でレシピも残されています。写真は当時のホテルニューグランドのシェフが書いた洋菓子の本。バターや生クリーム、卵、砂糖など、材料が現代よりもたっぷりと使われていて驚きます。
「義父は毎朝、その日つくるものの材料を新聞の隅の空白に書いてからでかけていきました。私はフランス語も教えてもらいましたし、今思い起こしても素晴らしい日々だったと思います」。

クリスマスは家族みんなで

class11_04.jpgクリスマスには家族みんなが集います。「飾りつけはあまり早くからはせず、少しずつ。20人分くらいの大きな七面鳥を焼きます。主人が亡くなって少しさびしくなりましたが、なるべくたくさんの人と祝うことで心がなごみます」。

ケーキは毎年違う趣向で

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毎年必ずつくるクリスマスケーキは、ブッシュドノエルやへキセンハウスなどの定番だったり、ショートケーキやチョコレートケーキだったり。今回はBRISA読者のために、一番簡単な苺のショートケーキのクリスマスケーキを再現していただきました。レシピはfoodのサイトをご覧ください。

鎌倉で主婦として生きるということ

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山田さんの生活は古きよきものを大切にしつつ、自分の思いを込めていく、主婦のお手本とも言えるようなもの。贅沢さも華美ではなく、つつましさ、賢さに裏打ちされたものです。「凛とした緊張感のある家に嫁ぎ、若い頃は無我夢中で学ぶことばかりでした。いろんなことを勉強し、お稽古にも通いました。義父母を見送った後、今は少し気楽な感じで暮らしていますが、時々、あの緊張感が懐かしいと思えることがあるのです。それが感謝の気持ちをつながっているのでしょう。すべてにおいて大事なことは、ひとつのことをじっくりすることから始まるのではないかと思います。人生は勉強しないと何も知らないままでとおりすぎてしまいますから」。


撮影 志津野 雷
取材・文 森 綾

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