贅沢な簡素。美意識をもってさりげなく和と暮らす
かすかな潮風が吹きぬける材木座。秋の野花が楚々と咲く広い庭の向こうに、和の心がさりげなくちりばめられた礒部さんの邸宅があります。選りすぐった最小限の好きなものだけに囲まれた生活は、贅沢な簡素、とでも言うべきでしょう。
初めてなのに懐かしい庭
木の門を開けて入ると、まず出迎えてくれるのは、初めてなのに懐かしい庭。その片隅には、彼女が子どもの頃からあったという海水浴帰り用のシャワーが。
和洋折衷にしたかった。
京子さんがこの家を建てたのは9年前のこと。
「一番の希望は和洋折衷にしたかったということ。そして新築でもぴかぴかさせるのは嫌だったんです」
そのために使う木材ひとつにもこだわり、床もワックスで磨かず「汚れたら削れる」ものにしたのだとか。
最初から居心地のよい家をつくりあげるには、強いイメージがあったのです。
「一番の希望は和洋折衷にしたかったということ。そして新築でもぴかぴかさせるのは嫌だったんです」
そのために使う木材ひとつにもこだわり、床もワックスで磨かず「汚れたら削れる」ものにしたのだとか。
最初から居心地のよい家をつくりあげるには、強いイメージがあったのです。
庭と一体感のあるリビング
大きなリビングは、その先にある庭と一体になっているように感じられます。
「窓を全部しまえるようにしたかったんです」
夏祭りの日には50〜60人の人が集まるパーティになるというのも想像がつきます。
苗木を買ってきて庭の一角に植えた葡萄も、やっと実をつけるようになりました。その葡萄もテーブルに置けばまるでオブジェのように。
「窓を全部しまえるようにしたかったんです」
夏祭りの日には50〜60人の人が集まるパーティになるというのも想像がつきます。
苗木を買ってきて庭の一角に植えた葡萄も、やっと実をつけるようになりました。その葡萄もテーブルに置けばまるでオブジェのように。
嫌いなものは置かない。好きなものだけを大切に
ケーキ教室を主宰し、料理も素晴らしく上手な京子さん。共に暮らす器の数々も、ひとつずつが彼女の美意識に統一されています。
「若いときから好きだと思えるいろんなものを買ってきました。そして好きなものをひとつ買うと、必要なくなったものは人にもらってもらったりしています。そのうち本当に好きなものがわかってくる。だいたい、すぐ買える値段のものは、必要のないものだったりしますよね。本当に買いたいものは手が出ないくらい高いから、
あまり買わなくなりました(笑)」
そんな審美眼を、今も京子さんは磨き続けています。
「美術館に行って本当にいいものを見たりするのは大切ですね。アンティークも好きです。
この大きなお皿は江戸時代のものだそう。鎌倉は骨董が楽しいですね。気に入ったときは12とか24とかいう単位で買います」。