湘南くらすらいふ 第18回 原優子さんのClass Lifeな暮らし
2013.06.20
にぎわう長谷の表通りから一本入った場所にある、静かな佇まいのレストランManna。オーナーシェフの原優子さんは、自らの味と空間をこの鎌倉の地で13年間、一心に追究してきました。Mannaをここに開いてまる4年、今や予約殺到となったこの店の魅力を育んだのは、彼女の強い情熱と湘南の人々のあたたかい眼差しだったのでしょう。
16席のおうちのようなレストラン
Mannaはオープンキッチンで16席しかありません。まるで優子さんの家に招かれて、美味しいイタリアンを食べられるような感覚。彼女が料理を作る様子も見えます。
「地元の人は前菜に野菜と魚、メインはお肉、という食べ方をされますね。湘南は魚がいつもふんだんにあって、家庭の食卓にのぼることも多いからでしょうか」
Mannaの前に経営していた「ナディア」から、10年以上、通ってくださる方もいます。
「その当時50代だった方は60代に、60代だった方は70代になっておられるわけですよね。だから歩いて来られる場所でずっと営業できたらと思っているんです」。
「地元の人は前菜に野菜と魚、メインはお肉、という食べ方をされますね。湘南は魚がいつもふんだんにあって、家庭の食卓にのぼることも多いからでしょうか」
Mannaの前に経営していた「ナディア」から、10年以上、通ってくださる方もいます。
「その当時50代だった方は60代に、60代だった方は70代になっておられるわけですよね。だから歩いて来られる場所でずっと営業できたらと思っているんです」。
信望しあえるお客さんたちに囲まれて
壁にそっと添えられた薔薇のオブジェは、コンテンポラリー・ダンサーの秀島実さんの作品。よく見るとランプを吊るしたワイヤーの上にも、小さな蜂のオブジェが。
「ご本人いわく、この薔薇はジャン・デュビュッフェ風。秀島さんも私の料理をとても応援してくださっています。あるときは『嫉妬する』とおっしゃったほどにね。私も彼をとても尊敬しています。お客様で友人。そういう関係性が築けていくことがありがたいし、うれしいです」。
「ご本人いわく、この薔薇はジャン・デュビュッフェ風。秀島さんも私の料理をとても応援してくださっています。あるときは『嫉妬する』とおっしゃったほどにね。私も彼をとても尊敬しています。お客様で友人。そういう関係性が築けていくことがありがたいし、うれしいです」。
隣接した自宅は太陽燦々の2階リビングが素敵
店の隣りには、優子さんと娘さんが住む自宅が。赤ワインの瓶の並ぶ階段を上がって行くと、2階に仕事部屋、3階に明るいキッチン&リビングが広がっています。
「ほとんど今は娘のもので、私は店で体育座りのまま寝てしまったりすることもあるんですが(笑)」。
ベランダからは、鎌倉の花火も見えるそう。
この日は梅雨の晴れ間の太陽がさんさんと注ぎ込んでいました。
「ほとんど今は娘のもので、私は店で体育座りのまま寝てしまったりすることもあるんですが(笑)」。
ベランダからは、鎌倉の花火も見えるそう。
この日は梅雨の晴れ間の太陽がさんさんと注ぎ込んでいました。
娘とのバイオリンの時間が幸せ
東京から鎌倉へと移り住み、しばらく経った頃から始めたというバイオリン。
娘さんも習い始め、二人で弾いているときが、一番和やかな時間だそう。
娘さんも習い始め、二人で弾いているときが、一番和やかな時間だそう。
接客に向いていると思ったから、飲食へ
東京での大学時代、体育会系のスキー部だったという優子さんは、どうして飲食の道を選んだのでしょうか。
「合宿から帰って来たら、みんな就職が決まっていて取り残されたような気分でした。かと言って普通のOLにはなりたくなかった。初めてバイトしたのはお好み焼き屋さんで、お運びするだけなんだけど、すごく楽しくて、私、接客に向いてるなと思ったんです。卒業後、知人の紹介で高級イタリアンの『サバティーニ』に入ったんですが、1年間、皿洗い。これは何年やってもフライパンを握れるようにはなれないと思いましたが、プロの技は一生懸命見て覚えました。その後、魚を覚えたいからこの店、という風に1年ずつくらいいくつかのお店で修行したんです」
「合宿から帰って来たら、みんな就職が決まっていて取り残されたような気分でした。かと言って普通のOLにはなりたくなかった。初めてバイトしたのはお好み焼き屋さんで、お運びするだけなんだけど、すごく楽しくて、私、接客に向いてるなと思ったんです。卒業後、知人の紹介で高級イタリアンの『サバティーニ』に入ったんですが、1年間、皿洗い。これは何年やってもフライパンを握れるようにはなれないと思いましたが、プロの技は一生懸命見て覚えました。その後、魚を覚えたいからこの店、という風に1年ずつくらいいくつかのお店で修行したんです」
最近、やっと自分の味に納得できるようになった
やがてバイトの中のオーナーが、優子さんに雇われシェフの話を持ち込んでくれました。「やれます!」と即答したものの、クレームの嵐。
「『こんなまずい店、来たことがない』とか言われて(笑)よく二子玉川の川縁で泣いてました。1回した失敗は2度しないようにはしていましたが。それで、13年前に思いきって独立しようと鎌倉に来たんです」
そこでMannaの前身となるナディアをオープン。
「実践的に作っていましたから、最初はまずいものも多かったと思いますよ(笑)。でも一生懸命だった。必死でしたね。本気でやるしかないんだもの。その店を閉じたのは、一回自分をゼロに戻したかったからです。そして、旧約聖書の出エジプト記に出てくる「糧」という言葉の意味をもつMannaをオープンしたんです。最近、やっと自分でも納得のいく味の料理を作れるようになったと思いますね」
「『こんなまずい店、来たことがない』とか言われて(笑)よく二子玉川の川縁で泣いてました。1回した失敗は2度しないようにはしていましたが。それで、13年前に思いきって独立しようと鎌倉に来たんです」
そこでMannaの前身となるナディアをオープン。
「実践的に作っていましたから、最初はまずいものも多かったと思いますよ(笑)。でも一生懸命だった。必死でしたね。本気でやるしかないんだもの。その店を閉じたのは、一回自分をゼロに戻したかったからです。そして、旧約聖書の出エジプト記に出てくる「糧」という言葉の意味をもつMannaをオープンしたんです。最近、やっと自分でも納得のいく味の料理を作れるようになったと思いますね」
Manna風トマトとモツァレッラチーズのサラダ
話をしながら、ささっと作ってくださったのが、この一品。
トマト、モツァレラチーズ、ルッコラなどをささっと合わせ、EXバージンオリーブオイル、塩こしょうとバルサミコをたらり。
ファテッロという豚の膀胱に詰めた生ハムとサラミがゴージャス。
このサラダはメニューにはありませんが、他にも美味しそうなお皿がいっぱい!
トマト、モツァレラチーズ、ルッコラなどをささっと合わせ、EXバージンオリーブオイル、塩こしょうとバルサミコをたらり。
ファテッロという豚の膀胱に詰めた生ハムとサラミがゴージャス。
このサラダはメニューにはありませんが、他にも美味しそうなお皿がいっぱい!
Manna
住所:神奈川県鎌倉市長谷2-4-7
TEL:0467-23-6336
営業時間:12:00-14:00 18:00-20:30
休:日曜、第1、3、5月曜
(撮影 斉藤有美 取材・文 森 綾)