北欧の暮らしを鎌倉の森の中の一軒家で
おうちの中へと招き入れられると、そこは北欧の空気。主のイェンス・イェンセンさんはデンマーク人ですが、デンマークの人なら誰でもこんな家に住む訳ではありません。家族が一緒になって手作りしている、世界でたったひとつの家なのです。鎌倉の自然とともに作りながら暮らす、なんとも素敵なライフスタイルがここにありました。
週末に直しながら4年目。この春から本格的に暮らし始めて
イェンスさんとマリコさん、2人の息子さん。4人がここに本格的に移り住んだのは今年の3月。3年前に購入し、週末に直しながらやっと住めるようにしたのだそうです。
「しばらくは上の一間と簡単なキッチン、洗い場しかなかったんです。イェンスがお友達にも手伝ってもらいながら、ほぼ1人で手を入れていきました。壁を解体するのが一番大変だったみたいです。近所の人には大工さんと思われていました(笑)」
壁を取っ払ったおかげで広々としたリビングとキッチンができました。そして今は窓の向こうのウッドデッキも建設中。住みながら作っていく。そのひとつひとつが生き生きと生活の一部になっているような楽しさがあります。
デンマーク流のインフラ作り
ここで生活ができるようにするためには、とにかく電気、ガス、水道といったインフラの整備が必要でした。
「住み始めた頃はお風呂がなくて、庭につくった太陽熱で温まるシャワーしかありませんでした。でも意外と慣れます(笑)。どうしてもというときは銭湯に行っていました。だからお風呂ができたときは嬉しかったですね」
「お風呂はカビの生えにくい石がいい」と決め、壁は大町にあるペンキ屋さんで調合してもらったオリジナルの色で塗りました。
洗面台はIKEAで買ったものをアレンジして設置。ランプはイェンセンさんのお父様からプレゼントされたものをここにつけました。
キッチンに関しては、マリコさんは食器洗浄機だけは入れたかったのだそう。でもコンロに関してはちょっと悩みどころでした。
「鎌倉はプロパンガスのお宅が多いのですが、値段も高いし、どうしようかと。料理は煮込みものなら薪ストーブの上のオーブンでできるし、あとはアウトドア用のカセットコンロで今はまかなえています」。
子供達と作ったプレイハウス
マリコさんが、ご主人のイェンス・イェンセンさんと出会ったのは98年頃。まだ学生で、イェンスさんも日本に留学中でした。
「私は日本語教師のボランティアを始めたばかりで、それが出会いですね」
2人の息子さんにも恵まれ、イェンスさんも日本での仕事が中心に。大使館勤務から独立、エッセイの執筆や、自ら提案する北欧流の自然と親しむ暮らし「コロニヘーヴ」を広めるため、忙しい日々です。
「デンマークではそれぞれの家に道具小屋があって、子どもの頃から父親のDIYを手伝ったりするのが当たり前のようです。うちも、子どもたちは手伝いますし、自然に自分で木のおもちゃを作ったりするようになりました」。
庭には烏骨鶏もいました。
「副産物があるとうれしいから、山羊を飼おうかというプランもあったんですけど(笑)」
この環境なら、山羊も十分、共生できるかもしれません。