湘南くらすらいふ 第19回 祥見知生さんのClass Lifeな暮らし
2013.08.04
器を愛しみ、器に見守られる静かな暮らし
最初は鎌倉山の住まいの一部をギャラリーにして日本全国の器を紹介することから始め祥見知生さん。現在は御成通りにNEARというお店を開いてより多くの人に美しい器との出会いをもたらしています。「同じ時代の作品を同じ時代の人に手渡したい」という思いは、しっとりと鎌倉の町に根ざし、訪れる多くの人にやすらぎと豊かさを与えてくれます。
自宅を器のギャラリーに
もともとは北海道生まれだった祥見さん。80ー90年代には書く仕事で様々な雑誌で活躍、人物インタビューなどを書いていたそうです。器はもともと「理由がわからないくらい好き」で、いつかは器を伝える仕事を始めたいと思っていらしたとか。そして2002年に自宅で「うつわ祥見」というギャラリーを開くことに。
「当時、鎌倉ではそうして自宅を開放している方が何人かいらっしゃったんです。1ヶ月に1回程度の企画展で空いてるときしかやらない。しかも告知はホームページくらいで、誰か来てくださるのかしら、と思っていたら、いつの間にか、全国からたくさんの皆さんが訪ねてくださる空間になりました」。
「当時、鎌倉ではそうして自宅を開放している方が何人かいらっしゃったんです。1ヶ月に1回程度の企画展で空いてるときしかやらない。しかも告知はホームページくらいで、誰か来てくださるのかしら、と思っていたら、いつの間にか、全国からたくさんの皆さんが訪ねてくださる空間になりました」。
御成通りに敬意を抱いて
ギャラリーとして人の出入りが増えていき、お店の必要性に迫られた祥見さんは、ある日、雨の中、なんとなく御成通りを訪れたのだそう。
「御成、という言葉にはとても敬意をもっていたし、この通りにあるお店は、店主が心から伝えたい、知ってもらいたいという気持ちにあふれていて、気持ちがいい通りだなと思っていたのです。でも本当に偶然、この場所が空いていたんです。それで設備も見ずに決めてしまいました」
器への深い思いと同様に土地の味わいも大事にしている祥見さんは、鎌倉の地縁に導かれたのかもしれません。
「御成、という言葉にはとても敬意をもっていたし、この通りにあるお店は、店主が心から伝えたい、知ってもらいたいという気持ちにあふれていて、気持ちがいい通りだなと思っていたのです。でも本当に偶然、この場所が空いていたんです。それで設備も見ずに決めてしまいました」
器への深い思いと同様に土地の味わいも大事にしている祥見さんは、鎌倉の地縁に導かれたのかもしれません。
器は作者の魅力そのもの
祥見さんの選ぶ器には、シンプルさとぬくもり、楽しげな雰囲気と静謐さが共存している面白さがあります。
「私は必ず工房に行って、作者とご飯を食べて、共感を得てから器を紹介しています。だから、器を商品とは思っていないんです。仕入れるというよりは、同じ時代の作品を同じ時代の人に手渡していくという思い。今流行っているとか売れているとかいう情報はいりません」
これ見よがしではないけれど、心ひかれるもの。そんな器の数々を眺めていると、こちらが守られているような気持ちになってくるから不思議です。
「私は必ず工房に行って、作者とご飯を食べて、共感を得てから器を紹介しています。だから、器を商品とは思っていないんです。仕入れるというよりは、同じ時代の作品を同じ時代の人に手渡していくという思い。今流行っているとか売れているとかいう情報はいりません」
これ見よがしではないけれど、心ひかれるもの。そんな器の数々を眺めていると、こちらが守られているような気持ちになってくるから不思議です。
器も家具も、時間が経つと育っていく
祥見さんのご自宅の家具は、英国のアンティーク。
「でもこの当時の英国の家具は、北海道のオークで作られたものも多かったそうなんです。あちらへ行って、また帰ってきたのだと思うといとおしいでしょう。家具は、古びてよくなっていく。時間とともに育っていくんです。私たちが助けられていると思えることも多いくらい」
器も同じく、育っていくもの。
「誰かがかわいがって育てたのだから、骨董はかっこいいのが当たり前。今私が手渡す器を、皆さんがかわいがって育ててもらえたらなあと思います」。
「でもこの当時の英国の家具は、北海道のオークで作られたものも多かったそうなんです。あちらへ行って、また帰ってきたのだと思うといとおしいでしょう。家具は、古びてよくなっていく。時間とともに育っていくんです。私たちが助けられていると思えることも多いくらい」
器も同じく、育っていくもの。
「誰かがかわいがって育てたのだから、骨董はかっこいいのが当たり前。今私が手渡す器を、皆さんがかわいがって育ててもらえたらなあと思います」。
まず飯碗から
あれもこれもと欲しくなってしまう器たち。祥見さんは、なかでもまず飯碗にこだわってほしいと言います。
「日本人の主食はご飯。ご飯一粒一粒をきちんといただき、つつましく満たされる気持ち。そこに戻れば、みんな気持ちよく生きられる気がするんです。自分の両手で受けられるだけの食べ物が基本。その手の形が飯碗なんですよ。手ざわりと感覚で、まず毎日使う飯碗を選んでいただきたいですね」
毎日使える値段のものが揃っているのも、祥見さんのセレクトのうれしいところ。彼女の店には連れて帰りたくなる器が、きっと待っていることでしょう。
「日本人の主食はご飯。ご飯一粒一粒をきちんといただき、つつましく満たされる気持ち。そこに戻れば、みんな気持ちよく生きられる気がするんです。自分の両手で受けられるだけの食べ物が基本。その手の形が飯碗なんですよ。手ざわりと感覚で、まず毎日使う飯碗を選んでいただきたいですね」
毎日使える値段のものが揃っているのも、祥見さんのセレクトのうれしいところ。彼女の店には連れて帰りたくなる器が、きっと待っていることでしょう。
祥見さんの本
祥見知生さんは2005年に上梓された『うつわ日和。』を始め、器や食に関する多くの著書をおもちです。文章から伝わってくる器の面白さ、作家の魅力にふれると、工房に出かけていきたくなりそう。最近は器の展示会だけでなく、音楽イベントも主宰していらっしゃいます。詳しくは下記より。
http://utsuwa-shoken.com/books/index.html
http://utsuwa-shoken.com/books/index.html