「散歩の先に」がコンセプト。風が流れるように生まれたカフェ
2010年8月、BRISAの鎌倉くらすらいふ第1回目に登場してくださった、東川則子さん。東川家は今も変わらずアートのある美しい暮らしを続けていますが、予約だけで営業していた「東川食堂」はその体裁を変え、パティスリーRの田中玲子さんを迎えて「カフェ・トロワ」に進化しています。「離れ」のスペースをホテルに、そしてまたカフェへと変遷させてきた、則子さんの心を訪ねました。
玲子さんのケーキとの出会い
田中玲子さんは元雑誌編集者。27歳で「載せるより、作る側に回りたい」と会社を辞め、お菓子教室などに通い始め、28歳のとき、ケーキをもってレストランへ売り込みに行ったのだそうです。
「そこで採用になって、34歳のとき「パティスリーR」という工房をもちました。2002年だったかな。それから3年ほどして、東川さんと出会ったんです」。
東川さんは、そのときの彼女のケーキの印象をこう語ります。
「味がやさしいの。何も添加物などが入っていないそのままのケーキなので、体に負担がないのだなと思いました」。
東川さんの編み物教室で、田中さんのケーキが定番に
東川さんは自宅で先生を招いて集まっている編み物教室で、玲子さんのケーキを出そうと思い立ちました。東川さんは言います。
「私がランチを作って、彼女のケーキをデザートに出そうと。そうしたら、70代の方たちも、日頃はケーキは食べないけれど、これなら二つ目も入りそう、と喜んでくださったの」。
「私がランチを作って、彼女のケーキをデザートに出そうと。そうしたら、70代の方たちも、日頃はケーキは食べないけれど、これなら二つ目も入りそう、と喜んでくださったの」。
「東川食堂」を閉めた理由
遠くから訪れる人も多かった「東川食堂」を閉めたのには、東川さんのいろんな思いがありました。
「『東川食堂』は、2年前に閉じました。私も65歳になって、定年退職の年齢じゃない?と思ったのと、娘がフランス留学から帰国したのもありました。離れの部屋はホテルの形にして貸したりもしていましたが、それも辞めようと思い始めていたんですね。そんなある日に田中さんが遊びに見えてランチをしていて『ここでケーキを出したいなあ』というようなことをおっしゃったので、ピンときたんです。友達の絵を見せる空間もほしい。何か別の形でここを生かそうと」。
そうと決めたら行動の早い東川さん。昨年11月にはホテルも店じまい。
田中さんは本当に驚いたそうです。「東川さんはあっという間にベッドを片付け、保健所に許可を取られて『ここで遊ぼうよ』と。年明けから動き出し、2月にはもう試験的にオープンしていました」。
「『東川食堂』は、2年前に閉じました。私も65歳になって、定年退職の年齢じゃない?と思ったのと、娘がフランス留学から帰国したのもありました。離れの部屋はホテルの形にして貸したりもしていましたが、それも辞めようと思い始めていたんですね。そんなある日に田中さんが遊びに見えてランチをしていて『ここでケーキを出したいなあ』というようなことをおっしゃったので、ピンときたんです。友達の絵を見せる空間もほしい。何か別の形でここを生かそうと」。
そうと決めたら行動の早い東川さん。昨年11月にはホテルも店じまい。
田中さんは本当に驚いたそうです。「東川さんはあっという間にベッドを片付け、保健所に許可を取られて『ここで遊ぼうよ』と。年明けから動き出し、2月にはもう試験的にオープンしていました」。
カフェ・トロワ、の意味
東川さん、東川さんと長年親しくしている画家、大井孝子さん、パティスリーRの田中さん。3人の「ここで遊ぼうよ」という思いはカフェというスペースになったのです。
「何か店名がいるよね。素数なのがいいな。3人でやるからフランス語でtrois、カフェトロワにしましょうと、またすぐに決まりました」。
心地よい風が吹くような思いつきを、スピーディーに形にしていく東川さん。「私はとってもよく歩くから、散歩して歩いていった先にふと見つけるお店、というようなコンセプトにしたかった。でも家族に話したら『そんなに歩く人はいないよ』と言われましたけど(笑)」。