鎌倉くらすらいふ 第1回 東川則子さんのClass Lifeな暮らし（1/3）

木々の緑に導かれるように材木座の路地を進むと、その先に東川さんのお宅があります。燦燦と日の当たる、そこだけが特別な夢を見ているかのような空間です。庭のまんなかに大きな桜の木がその枝を広げ、硝子張りの邸宅を守っています。

手作りの木工の青いドアを開くと、東川則子さんの笑顔が。

「引っ越してきたのは11年前です。ウィンドサーフィンが大好きな夫と娘、両親と、みんなで大移動してきたんですよ」

建築設計してくれたのも鎌倉在住の建築家だったが、空間だけをつくってもらい、あとは自分たちの目線で住みながら手を加えていったのだそうです。大工さんに依頼して部屋の仕切りや天井を取り払って梁を出してもらったり、ご主人自ら古材で食品庫の扉を作り直したりというセンスは、自由な感覚でいっぱい。まさに湘南の風が吹き抜ける、素敵な暮らしが始まりました。

「生活はアートそのもの。家のなかほど自由な場所はない」。東川さんの考えは、インテリアのすべてに一貫しています。とりわけ、山中湖に住む木工作家・中川久嗣さんの作品はこの家に溶け込んで。

「最初にお願いしたのはドア。すっかり気に入りました。食生活を大切にしている私たちは、食に役立ち、アートとしても生かせるダイニング・テーブルをそこで暮らし始めて1年後に発注したのです」

155センチ四方のテーブルを囲めば、誰しもほっこりと心を開くことができそうな気がしてきます。