作るものも、住むところも。どこまでもビーチ的
征矢まり子さんは、UNITED ARROWS のスイムウェアブランド「Lepidos」のディレクター。ご主人は外資系ブランドに勤務していて、夫婦ともに海が大好き。サーフィンが暮らしの一部のようにある、センスのいい2 人が建てた家は、完成してからも少しずつ手が加わっています。居心地の良さと美しさが無理なく共存した場所には、2人の好みが一致した、海と光の色があふれています。
初めて逗子に訪れたとき、直感でここに住みたいと思った
まり子さんとご主人は結婚13年目。この家を建てたのは2年前だったそうです。
「サーフィンをしていたから鎌倉にはよく来ていたのですが、あるとき、仕事関係で知り合ったご夫婦が逗子に住んでいると聞いて、初めて電車で逗子に来たんです。駅前からつづく商店街を歩いたり、のんびり海を眺めたりしているうちに『私、ここに住みたいかも』と思ったんです。ただ、私たちは2人とも仕事は東京だし、最初は週末を過ごすためのセカンドハウスを買おうかと思ったんですね。でも甘かった。全然高いし、思うような広さのものは買えないとわかりました。それで本腰を入れて移住を考え始めたんです」
まり子さんのご主人は、どうせ移住をするなら一軒家を建てたいと考えていたようでした。
「主人の理解もあって、逗子に移住は決定。そして好都合なことに、主人は一軒家を建てたいと常々思っていたようです。そこからの私たちの動きは早かった(笑)。持っていたマンションを売却し、逗子に一軒家を建てることになりました」
1階には海帰りのカフェになりそうな空間が
2人とも海が大好き。
「こっちに来てからは、海や山の近くにいることが自然。平日、天気がいいと、なぜ都心に向かっているんだろう、って思っちゃうことも(笑)。夏休みシーズンは、海へ向かう人たちを横目に上り電車に乗り込むのですが、正直つらいものがあります」
まり子さんは高校生の頃からボディボードを楽しんでいました。
「ロングボードを始めたのは10年くらい前。ちょうどその頃、主人が友人の影響でロングボードを始めて。追いかけるようにして、私もロングボードの魅力にはまっていきました」
入ってすぐの土間は、そんなサーフィンが大好きな2人とその仲間達とで憩える、カフェのような空間になっています。赤いラジカセのルックスは、i-podを入れられるスピーカー。なんだか楽しくて、帰りたくなくなりそうな場所です。
モルタル仕上げのキッチン。目指したのは素材を生かしたシンプルな家づくり
ご主人とまり子さんの趣味は衝突がなく、一貫したセンスを感じます。
2階はゆったりしたキッチンとリビング。顔を見ながら料理を作れます。
「室内の壁は珪藻土の塗り壁がいいとか、キッチンとお風呂はモルタルがいいとか。食器も見えないほうがいいよね、と、わりと趣味は一致しますね。主人は仕事で店舗デザインにも携わっているので、簡単な図面を描きながら話せたのがよかったです」
あるブランドのショールームの床に使われていた木材のメーカーを調べ、それに近くて予算が合うものを選んだとか。
「フローリングの木材にもこだわりました。床・壁・天井、すべてにおいて、昔ながらの技術を持った左官職人さんと大工さんのおかげ。彼らがいなかったら、この家はできなかったと思います