鎌倉くらすらいふ第33回 豊田裕子さんのClass Life な暮らし(2/2)

最初の思いに立ちもどること

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時間をかけて住みながらリノベーションする。そうすることで経費的にもゆとりができ、経験値も加わっていいものができそうですが、一級建築士の裕子さんをしても、ひとつ、課題はありました。

「時間が経つと、最初のコンセプトがぶれてくるんですよね(笑)」
7.jpgその時々の自分の変化もありますし、世の中の流行も変わってきます。裕子さんはそれをどう乗り越えてきたのでしょう。

「大事なことは、最初の思いに戻ることです。人のテイストはそう変わるものではないので、好きなものを入れていってもそうおかしくはならないとは思いますが。でも買い物に行ってその時々の『これが欲しい!』っていうものを並べていったら、とんでもないことになりますから。雑誌の写真などのイメージをしっかり頭に入れておくといいと思います」

祖父と私の設計が一体に

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仕事柄、いろんな建物を見て、実際に作っておられる裕子さん。鎌倉・扇ガ谷の海蔵寺の書院「玄能庵」では、神奈川建築コンクールで受賞歴もあります。

「実はこのお寺、私の祖父も改修を手がけていて、祖父の造った石垣があったんです。御住職は『全部壊してやり直していい』とのことだったのですが、私はどうしてもそれを残したく、お願いして残しつつの計画をさせてもらいました。祖父と私の設計が一体になったのは受賞以上に感慨深いことでした」

変化を楽しんでいきたい

8.jpg裕子さんのそのやさしさが、建物にも現れるのでしょう。RCコンクリートの広々とした家も、どこかぬくもりがあり、寒々しくないのはそんな理由なのかもしれません。

自分の家でこれからまだ改装していきたいところもあります。

「メインのお風呂と洗面所はリフォームしたいですね。タイルを貼ったり。まあ、ユニットバスの方は手入れは楽なんですが。一生に1回ですからね。主人は庭の奥の壁にレンガを貼りたいと言っています。そっちの方が先にできそうですね」
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お嬢さんが大きくなるにつれ、また変えたい場所はいろいろと出てきそう。基礎がしっかりした建物ならではの楽しみは尽きません。

豊田裕子(とよだ・ひろこ)

一級建築士。神奈川建築コンクールで受賞した海蔵寺の書院のほか、カフェやショップなど、地元の商業施設も多数手がけている。工学院大学大学院建築学専攻修了、(株)入江三宅設計事務所、(株)MARIODELMARE、(株)斉藤建設設計部を経て現在に至る。

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